あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 




一つの記事にまとめるつもりだったんですが、思いのほか長くなってしまったので、アルバム関連とコンピレーションを分ける事にしました。

というわけで、こちらではお薦めのコンピレーションを紹介したいと思います。

Martaのコンピレーションは、本国チェコのSupraphonで数種類のコンピレーションがリリースされていますが、その中で聴き方に応じてのお薦め3種を紹介したいと思います。


1.Ne! The Soul Of Marta Kubišová (スペインVampi Soul VAMPI CD 114)`09

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まず最初に聴くのならこれがダントツお薦めです。
デジパック仕様の25曲収録で、詳細な英文ライナーつき。
クールなジャケとタイトルが象徴しているように、ソフトな楽曲ほぼ外したパワフルな彼女のボーカルを堪能できる、ナイスなコンピレーションです。

60年代ビート/サイケのファンは、意外とガールポップには手を出さない人がいるのですが、これを聴いて衝撃を受けた人はけっこう多いんじゃないでしょうか?
実は僕も、このCDを聴いてはまった口で、気がついたらほぼ全曲揃えていました(笑

「Hej, Jude」や「Modlitba Pro Martu」(2曲ともこのCDには収録されていません)を聴くと、あまりロック的な印象はないと思いますが、このCD聴けば彼女が非常にパワフルでかっこいいロックシンガーでもあることが良くわかります。
また、制作に関わったバック陣が優秀だったようで、全体的にMartaのボーカルをうまく活かしたアレンジ・演奏がなされているのもポイントが高いです。
特に、彼女の歌心が頂点に向かって行った68~70年の楽曲には、力強い説得力を持った素晴らしいものが多いです。

これを聴いて好きになったら、以下の2か3を追加で購入してもいいと思いますし、編集がいいのでこれはこれで持っていていいと思います。

最初にこれを持ってくるとはと心憎い「Tak Dej Se K Nám A Projdem Svět」、Ronettesの「You Came, You Saw, You Conquered」のスマートなカバー「Tvůj Krém, Tvůj Nůž, Tvůj Růženec」、ダークでストロングな「Tajga Blues '69」、ミュージカル「Hair」のオリジナルよりも遥かにかっこいいR&Bアレンジの「Hare Krišna」、すっきりとしたアレンジがメッチャかっこいい「Chci Právo Trubky Mít」、このCDのタイトルとなった「Ne」、「Hare Krišna」とのカップリングでシングルとして70年夏にリリース予定だったものの、直前で中止になって当時日の目を見なかった、パワフルな「Jakoby Nic」、軽快なバックに乗って歌われる「Vrba」などなど、彼女のコンピレーションとして最高の1枚です。


2.Vyznání Zlatá kolekce (チェコSupraphon SU 5817-2)3CD `10

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観音開きデジパック3CDアンソロジーで、60曲(うち60年代は41曲)収録。
ジャケ写が素敵です。
Disc1&2が60年代の曲、Disc3が90年以後の活動再開後の音源です。
1とのダブりがかなりありますが、もうちょっとひとまとめ聴いてみたい方に。
3CDデジパックとしては支える背表紙が薄くて背が折れやすいのと、楽曲が次代順に並んでいない点が、ちょっと難ありかな。


3.Zlatá Šedesátá (Supraphon SU6076-2)6CD-Box`12

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しっかりとした厚手の紙製の1.5センチくらいの厚みのBoxに、シングルやアルバムを模した紙ジャケCD6枚とライナーが収録されたセットで。
全125曲収録で、70年までの彼女の録音のかなりを聴くことができます。
60年代の音源では、「Songy A Balady」や1&2収録の音源は全て収録されており、さらに未発表曲も追加されています。
これに収録されていない曲はまだありますが、よほどのこだわりがない限り、これがあればあまりあれこれ買う必要はないと思います。

これも時代順ではなく、それぞれのテーマによって編集されており、チェコの音楽シーンに不慣れな人にはちょっとわかりにくいです。
あと、6枚組・125曲とボリュームがありますので、初っ端に聴くのにはちょっと大変かもしれません。


以上が僕のお薦めコンピレーションです。

他にもいくつかのコンピレーションがありますが、紹介した比較的近年のコンピレーションにほとんど収録されているものや、ベスト・アンソロジーとしては編集の意図が違うものがありますので、ある程度Martaの音源を把握してから手を出したほうがいいと思います。

個人的には、とにかく1と、「Songy A Balady」を聴いてみて欲しいです。
これを聴くだけで、Martaの歌が特別なものであること、民主化の象徴云々以前に、世界レベルで見ても素晴らしいシンガーであることが良くわかると思います。

僕自身、歌を聴いてこれほど熱くなったことはそうはないかもしれません。

Martaに関心を持たれた方々に、ぜひ手に取っていただきたいものです。



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(with Alexander Dubček in 1968)

12/30 「Modlitba Pro Martu(マルタの祈り)」についての記述を大幅修正


今回は、最近またネット上で名前をチラホラ見かけるようになった、チェコスロバキアでは特別な存在であるMarta Kubišováについて書きたいと思います。
ただ、彼女はすでに日本でも割とよく知られているし、日本語の情報もかなり出回っていますので、今回はちょっと切り口を変えて、60年代に唯一リリースされたアルバムと、「Modlitba Pro Martu(マルタの祈り)」について述べたいと思います。

Marta Kubišováは、63年から活動停止を余儀なくされた70年までの期間に、数多くのシングルや楽曲を残していますが、ソロ名義でのオリジナルアルバムは69年にリリースされた「Songy A Balady」のみです。

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(左がオリジナル・右がBonton盤CD)


Songy A Balady (チェコBonton 71 0391-2)`96 (同Supraphon SU6076-2 Disc 6)6CD-Box`12

1.Hej, Jude
2.Proudy
3.Dobrodružství S Bohem Panem
4.Tak Dej Se K Nám A Projdem Svět
5.Modlitba Pro Martu

6.Magdalena
7.Ring-O-Ding
8.Mama
9.Ne
10.Balada O Kornetovi A Dívce
11.Všechny Bolesti Utiší Láska

Bonus Tracks
12.Modlitba Pro Martu (68年8月録音)
13.Kdo Ti Radu Dá *
14.Zlý Dlouhý Půst *
15.Tvé Jméno Jan - Pocta Janu Patočkovi *78年録音

*…Supraphon盤CDのみ

このアルバムは、現在までに96年にBonton、12年にSupraphon(6CD-Box「Zlatá Šedesátá」のDisc 6)の2種がリイシューされています。
また、Bonton盤を輸入して解説と帯をつけた日本盤?も流通していました。

チェコ語の「Song And Ballade」にあたるタイトルを持つこのアルバムは、68~69年にかけてレコーディングされ、69年にSupraphon Gramofonový Klub盤(レコードクラブ会員販売)でリリースされ、70年に入ってから店頭販売もされるようになったのですが、この短い期間に彼女を巡る情勢は激変しており、店頭販売された通常盤は、当局の圧力によって放送禁止にされた5を14に、さらに「No」と言う意味の9を13に差し替えられてしまっています。
もっとも、その差し替えられた通常盤でさえ70年のうちに販売も所持も禁止されてしまったわけですが・・・。
Martaのレコードを広場に集めて割って燃やされ、そうしたくなかった人は地面に埋めて隠したという話が伝わっています。

幸いなのはその差し替えて収録された2曲も素晴らしいできばえだったことで、Supraphon盤CDのボートラとして収録されたのは心憎い処置だと思います。

もちろん、リイシューされたCDはGramofonový Klub盤のオリジナルの収録曲に準拠されています。

リスナーに歌をきちんと伝えるために心を砕いていたというMartaの、活動期間のピークといえる時代にレコーディングされたこのアルバムは、チェコ語を理解できない日本人にさえ、ひしひしと伝わってくるような説得力を持った素晴らしいものです。

もはや単純なカバーとは言えない力強さと説得力を持つ1、「Greensleeves」のカバーの中でも指折りの一品と言える3、パワフルなシンガーとしての資質を堪能できるR&Bの4、深い悲しみを歌い上げる8、当局の正常化を暗に批判したソウルフルな9、シタールとアコースティック12弦ギターの響きが織り成すサイケな10、もっともガールポップ的なスマートな11、そして1のリプライズがフェイドインしてきてアルバムが終わる・・・と言った感じです。

Martaの存在と経歴もさることながら、プラハの春が踏みにじられて行っていた状況に正面から挑んで行ったような、自由への渇望を強く感じさせるこのアルバムは、チェコの国民的財産と言っても過言ではない1枚だといえます。

BontonとSupraphon、どちらのCDがいいかといいますと、これがどちらも良し悪しがあって、単品で購入できて正確にアルバムが収録されているものの、96年盤なので音質が少し落ちるのとジャケがオリジナルと違うのがBonton盤、音質がよくてアルバムに関連した追加ボーナスが多いものの、6CD-Boxを購入しなければならず、アルバムのラストの「Hej, Jude」のリプライズが欠落してしまっているのがSupraphon盤で、どちらかといえば正確にアルバム自体が収録されているBonton盤のほうをお薦めしたいですね。
リプライズを妥協できて、他の曲もたくさん聴いてみたいならば6CD-Boxに行ってもいいかもしれません。



【“Marta KubišováのCDについて”の続きを読む】 このページのトップへ



またもや久しぶりの更新になってしまいました。
今年は本当に書かなかったなあ。

ここ数年、悩まされていた目の問題が解決したので、とりあえずは一安心です。
あとは、プライベートな問題に対峙しているところですが、まあ本腰を入れるのは年が明けてからですね。

それ次第になりそうですが、このブログの東欧の記事だけを別のブログに移設したいなと思っています。
MatadorsやFramus Fiveみたいに加筆修正する必要のある記事を、きっちり書き直してうpしなおすのにもいい機会になると思いますし。

まあ、その辺はまだ構想の段階なのですが。

とにかく、来年は少し身の回りを変化させようと考えている次第であります。


さて、表題の今年の収穫について。
今年は目の手術の貯金をしていたこともあって、20枚程度しか買っていないのですが、質の面では近年まれに見る収穫でした。

画像のブツがその最大の収穫だったものですが、長い間探し続けていたものや、存在さえも知らなかったものなど、入手にてこずるタイプのものばかりで、費用を工面するのに嬉しい悲鳴を上げたものです(笑

左上から簡単に紹介しましょう。
上段の左はPavol Hammel & Prúdyの2ndで、95年にリイシューされたBonton盤。
存在するのは知っていたのですが、検索しにくいSameタイトルな上に、品番など詳しい情報がほとんど出なくて翻弄された1枚です。
たぶんPrúdyのBonton盤で一番レアなんじゃないかと思います。
これで彼らの72年までの音源はほぼ揃いました。

その右隣が旧チェコスロバキアのグループの68~69年の音源のオムニバスで、10年以上探し続けていたCDです。
現在でもこれでしかCD化されていない音源があり、分厚いライナーに収録グループのレアな写真が掲載されており、入手できて非常に嬉しい1枚でした。
これもほとんど出てこないので、かなりレアだと思います。

右端はPanton(!)からリリースされた、やはり60年代のグループが収録されたオムニバスで、僕は存在さえ知りませんでした。
旧チェコスロバキアの3レーベルのリイシューを、Bontonで手がける過渡期の94年にリリースされていますので、本国でもあまり出回らなかったようです。
マスタリングはされていないようで、音質・音圧はいまいちですが、1曲しかCD化されていないと思っていたBluesmenが2曲収録されていたり、EP収録のオリジナル・モノミックスで収録されている曲があったりと、いずれじっくり検証したい1枚です。

下段左端はスロバキアのModusのアンソロジーの1枚目で、どうやら4まであるようです。
せいぜい73年くらいまでしか用のない僕はこの1枚目だけで充分ですけどね。

これらのチェコスロバキア関連は、同じセラーから譲ってもらったものですが、やはり本国にはちゃんと持ってる人がいるなあって思いました。

Thank you R.K!!

その右がポーランドのBreakoutの1st/2ndの2in1。
実は1stも2ndも別で持っているのですが、このCDにはアルバム未収録曲で、僕のお気に入りの「Za Siódmą Górą」が収録されている唯一のCDで、ようやく入手することができました。
Breakoutは、来年に入ってから最初の記事で取り上げたいと思っています。

右端は新品で入手したものでレアではありませんが、旧ユーゴのクロアチア系のレーベルJugotonのEPをCDにしたBox。
モノではなくステレオなのが惜しいところですがかなり音質は良く、ジャケットのつくりは日本製みたいにオリジナルに忠実ではないものの悪くないと思います。
また、このBoxでまとまってリイシューされていないDelfiniの音源が揃うのもポイントが高いです。

とまあ、こんな感じです。


来年も面白いものが入手できることを願いつつ、皆様よいお年を。



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    翻訳・編集に時間がかかるので更新は激烈にスローです(笑
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