あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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Blackout 1967(L to R:Tadeusz・Mira・Józef・Stanisław・Robert・Krzysztof)


今回は予告通り、ポーランド初のブルースロックグループと言われているBreakoutと、その前身のBlackoutを紹介したいと思います。

65年、ポーランド南部の都市ジェシュフの音楽院で、バイオリンやクラリネットを学んだTadeusz Nalepa(G.Vo)と、63年ごろから彼とデュオで活動していた(そして後年彼と結婚する事になる)Mira Kubasińska(Vo)らで65年に結成されたのがBlackoutで、他のメンバーはAndrzej Zawadzki(G)・Krzysztof Potocki(B.Key)・Józef Hajdasz(Ds)、そして後年Stan Borysという名で知られる事になるStanisław Guzek(Vo)の6人編成。

当時のポーランドでは、自国語のグループ名がほとんどだったので、彼らのように英語でのグループ名は非常に珍しかったそうです。

この頃から、Tadeuszは詩人・小説家のBogdan Loeblとのコンビでオリジナル曲を書き始め、Blackoutのレコーディング曲は全てこのコンビ作でした。

65年のうちにAndrzej Zawadzkiが脱退し、66年からAndrzej Soleckiが参加。
そして今度はKrzysztof Potockiが脱退し、Piotr Nowak(B)・Krzysztof Dłutowski(Key)が加入と、こまごまとメンバーチェンジが相次ぎます。

66年に国営Muzaからシングルデビューし、早速ヒットして人気グループとなりました。
その後もシングル・EPをコンスタントにリリースして行き、67年には唯一のアルバムをリリースしています。

アルバムをリリースした67年にもメンバーチェンジがあり、Piotrが脱退し、Robert Świercz(B)が加入。
しかし、アルバムリリース後にRobertが脱退、Janusz Zieliński(B)が加入…ベーシストが安定しないグループですね(笑

Blackoutは、一般的なポーランドのビートグループと同じく、演歌的な湿っぽさにR&Bの要素を織り込んだサウンドでしたが、共産国のグループとして歌詞にプロテスト的な要素を含ませていたのは特筆すべきことでした。

しかし、同年いっぱいでグループは解散、そして68年に入ってすぐにTadeuszが新たに結成したのがBreakoutでした。

とはいえ、メンバーはBlackoutの最終ラインナップから、ソロで活動する事になったStanisławを外した5人編成で、新結成と言うよりはリフォームと言うか仕切り直しのような感じだったのではと思います。

Jimi Hendrix ExperienceやCreamなどの新しいサウンドに衝撃を受け、それまでのような演歌調R&Bロックに限界を感じたんでしょうね。
実際彼らのスタイルは、アタックの強い演奏を前面に出したブルースロックに変貌しています。
とはいえ、紅一点のMiraのボーカルがあまりブルース的ではないので、あまり重過ぎない絶妙なポップさも含まれているので、一般的なブルースロックが苦手な方でも聴きやすいサウンドなんじゃないかと思います。

早速彼らは、68年2月にMusicoramy festivalで初パフォーマンスを披露。
しかし4月にJanuszが早々に脱退、Michał Muzolf(B)が加入。
Blackout時代からの伝統のベーシストの安定しなさぶりは続き、その後も目まぐるしく交代していく事になります。

6月にはベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3か国の集合)諸国をツアー。
おそらく、この時にRickenbackerやBurnsなどの楽器を購入したようで、ポーランドで最初に西側の機材で演奏したグループとなりました。
当時の映像を見るとRickenbacker360(ナチュラル)とアーム付きの365(ファイヤーグロー)や、BurnsのベースにGretsch(たぶん6120DC)や(これもたぶん)Ludwigのドラムセットなど、高価なギターやベースを使用していますが、よく予算が出たなあ(笑
また、ブルースロックを志向するのに、何故Rickenbackerを選んだんでしょうね?
どこかでブリティッシュビートへの憧れが残っていたんでしょうか?

11月には初の国内ツアーを巡り、「Gdybyś Kochał, Hej!」がTVでクリップで公開され、69年1月~2月にかけてラジオチャートでトップになり、3月にはPronitからシングルとしてリリースされると、順調に活動を展開していきました。
また、シングルと同じ3月に、1stアルバム「Na Drugim Brzegu Tęczy」もPronitからリリース。
このシングルとアルバムをレコーディングしていたと思われる69年初頭?にKrzysztofが脱退、ジャズミュージシャンのWłodzimierz Nahorny(Fl.Sax)が加入。
どうやらレコーディングにはKrzysztofは参加していないようで、Włodzimierzの加入によってジャズロックやプログレ的な要素も持ち合わせるようになりました。

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Breakout 1969(L to R:Józef・Mira・Michał・Tadeusz)

8月にはグループ恒例(笑)のベース交代劇があり、Michałが脱退してかつてBlackoutに在籍していたPiotr Nowakが加入、しかしそのPiotrも70年初頭にあっけなく脱退、のちにSBBを結成するJózef Skrzekが加入と、半年足らずの間で3人が行き来するという事態になりました。

70年に入ってから、このラインナップで2ndアルバムのレコーディングを行い、2月にMuzaから「70a」をリリース、前作よりブルース度が上がった内容に仕上がりました。

71年の3rdアルバム「Blues」では、その名の通りさらにブルース度を上げた内容で、ここら辺からビート/サイケファンにはきつくなってくると思います。
また、この時期から数年の間、Breakout名義(Tadeuszがボーカル)と、Mira & Breakout名義に分けてリリースされるようになりました。

この頃、グループに共産国ならではの突き上げが襲い掛かってきます。
ポーランドは当時の東欧共産圏の中では、ハンガリーと並んでそういう抑圧のあまりない国だったのですが、それでも我慢ならないほど、彼らの西側チックなスタイルとTadeuszのロングヘアに批判が起こり、彼らの曲がTVやラジオで放送禁止になりました。
でも、70年位だったらNiemenなんかもかなりロングヘアになっていたと思いますし、なぜBreakoutだけが突き上げられたのかと言うと、おそらく彼らの曲の歌詞のプロテスト的な側面に最大の理由があったんじゃないかと思われます。

当初はTadeuszも、当局のありがたいご指摘に全く反省することなく、我が道を突き進んでいたのですが、徐々に突き上げが厳しくなって行ったようで、その後徐々にサウンドスタイルをソフトなものに変えて行かざるを得なくなって行ったようです。

もっとも、比較的寛容だったポーランドだったからこそそれで済んだわけで、旧チェコスロバキアやルーマニアだったら彼は危険な目に会っていたかもしれません。

これ以後の活動については、僕の守備範囲外になるので割愛させていただきますが、82年の解散までに10枚のアルバム(Mira with Breakout名義2枚を含む)を残しています。

ちなみに、グループの中心だったTadeuszは07年、Miraは05年に亡くなっています。



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