あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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個人的にはいいジャケだと思います

さて、今回はポーランドで68年に制作された「Msza Beatowa(ビート・ミサ)」のアルバムを紹介したいと思います。

正式なタイトルは「Msza Beatowa:Pan Przyjacielem Moim(ビート・ミサ:私の友人なる主よ)」で、68年、ポーランドの作曲・編曲家でピアニストのKatarzyny Gärtnerがロックのスタイルでミサ曲を制作したもので、68年1月に、70年代に「連帯」での政治活動で有名になるLeon Kantorski師が、ビートグループCzerwono-Czarniの演奏で自らの教会で行ったのが初演になります。
残念なことに、この初演はレコーディングされなかったそうで、その全容は知る由もありません。
しかし、のちにCzerwono-Czarniがこの「Pan Przyjacielem Moim」をスタジオでレコーディングして、同年にアルバムとしてリリースしています。
初演の内容とは多少の違いはあるかもしれませんが、当時演奏を受け持った彼ら自身のレコーディングでもありますし、それに近い空気を垣間見ることができるかもしれませんね。

ミサという儀式の流れをアルバム化していますので、ロック・オペラの一つの形態と言ってもいいと思います。

「私の友人なる主よ」とはクリスチャン、それもカトリックとしては大胆なタイトルだと思いますが、時代的な背景を考えるとフラワー・ムーヴメントの影響下の「友愛」も感じさせます。
ちなみに、某首相の「友愛」の影響は皆無だと思われます(笑

敬虔なカトリックの国ポーランドならではの、そして当時この国でもロックの社会的影響がいかに大きかったかを物語った作品と言えますね。

60年代にリリースされたコンセプト・アルバムのなかでも、非常に個性的な作品だと思います。



ミサ曲をロックにアレンジした…となると、どうしても荘厳でシンフォニックなプログレのイメージを抱いてしまいそうですし、オーケストラ使用にパイプオルガンの独奏、グレゴリオ聖歌的な重厚なコーラスなどの要素や、1のような11分にも及ぶ組曲があったりしますので、そう感じても仕方がないかもしれません。
が、1などの例外を除くと基本的にR&B度の強い演奏で、さらにラーガ、サイケなどの要素をポップミュージック的な自由な発想で取り込んでいますので、ビート/サイケファンにもかなりおすすめできます。

一応、わが国は仏教国で、クリスチャンの方以外の日本人は「ミサ」についてその言葉以上の事をご存じない方(僕もその1人です)も多いと思われますので、混乱しない程度の注釈をつけるために、ミサ自体について調べてみてわかったのですが、このアルバム、ただ「ミサっぽく」しただけでなく、本来のミサの流れに準じて綿密に練られたものであることがよくわかりました。

ミサは、キリエ/グローリア/クレド/サンクトゥス/アニュス・デイの五つの通常文を基本要素に、ミサの日時や目的によってイントロイトゥス/グラドゥアーレ/コンムニオなどの固有文を加えて構成されます。
各文については、混乱しない程度に簡単な詳細(なんだそれ(笑)を曲目の下に併記しておきましたのでご参照ください。

これだけの事を理解しただけでも、このアルバムが雰囲気を狙っただけのものではなく、実際にミサ曲として使えるだけのきちんとした構成と完成度を持っていることが分かります。
実際、68年当時の初演と、その後にも何度も再演されているみたいです。

初演の内容と全く同じアレンジ・曲目で演奏されているのかはよく分かりませんでしたが、このアルバムではミサ定型の通常文+固有文に、3パートからなる牧歌を追加した構成になっています。

Katarzyny Gärtner/Czerwono-Czarni
“Msza Beatowa:Pan Przyjacielem Moim”
(ポーランド Polskie Nagrania Muza XL 0475)LP `68
(ポーランド Polskie Nagrania PNCD 292)CD `95

1. Introitus(イントロイトゥス)〔入祭唱〕
2. Kyrie(キリエ)〔求憐誦〕
 「主よ憐れみたまえ」
3. Gloria(グローリア)〔栄光頌〕
 「神の栄光を称える賛歌」
4. Graduale(グラドゥアーレ)〔昇階唱〕
5. Credo(クレド)〔信仰宣言〕
6. Sanctus(サンクトゥス)〔三聖頌〕
 「感謝の賛歌」
7. Agnus Dei(アニュス・デイ)〔神羔頌〕
 「神の子羊」
8. Communio(コンムニオ)〔聖体拝領誦〕
9. Kolęda
 *ポーランド独自のクリスマス・ソングの名称らしい

Pastrałki(牧歌)
10. a)Chwalcie Imię Pana(主の御名を称える)
11. b)Przyjaciele Moi(私の友人)
12. c)Historia O Bożym Narodzeniu(クリスマスの歴史)


68年のオリジナル盤のジャケは最初の画像で、天使がギターを抱えてるややサイケなデザインが趣きがあります。
ブルー系を基調とした色になっているせいかやや地味な印象ですが、ミサ曲というスタイル上、オレンジや紫などの極彩色を使いづらかったのかもしれませんね(笑

95年にリイシューされたCDではジャケが以下のものに差し替えられているのですが、安直でデジタルな感覚のデザインでかなりガッカリな印象です(笑

個人的にガッカリなジャケだと思います(笑

また、同じタイトルで別演奏のCD(以下の画像)もありますので、間違えて買ってガッカリしないようご注意ください(笑

これはこれで聴いてみたいです

もっとも、これはこれで聴いてみたいような気もします。
ジャケは黒ミサっぽいですが(笑

Czerwono-Czarniは当時のポーランドのグループに多い、レコーディングで外部の女性ボーカルに歌わせることが多いことで悪名高いグループ(笑)ですが 、このアルバムでは基本的に本来の4人のメンバーで演奏されています。

Tadeusz Mróz(Vo.G)
Henryk Zomerski(B)
Klaudiusz Maga(Key)
Ryszard Gromek(Ds)

楽曲や構成が優れていることと、外部の女性ボーカルに歌わせていないことで、グループのビート感がうまく出てきたようで、彼らのオリジナルアルバムより完成度が高く、ポーランド60’sのアルバムでも最高峰の1枚だと思います。

彼らの他のアルバムとかなり違いがあるせいか、現在オリジナルアルバムとしては数えられていないようで、彼らのアルバムとは別口でリイシューされているのもさもありなんという感じです(笑

では、各曲について簡単に。

1、冒頭でミサの宣言がなされ、ホーンをフューチャーしたアトランティック・ソウル的なテーマ~グレゴリオ聖歌風コーラス~ラーガ的フレーズのギタープレイ…という流れの、イントロからいきなり11分にも及ぶ組曲。
2、グレゴリオ聖歌とフィリーソウルを織り交ぜたような美しい小品。
3、チープな音色のオルガンによる美しい調べに乗って、とつとつと歌われる(語られる?)グローリア(笑
4、荘厳なパイプオルガンに導かれる、実にポーランド的なバラード。
5、S.Davis Groupっぽいグルーヴの、疾走感のあるフリークビート一歩手前のR&B。
6、クラシカルなアカペラの小品。
7、荘厳かつメランコリックな美しいバラード。
8、パイプオルガンの独奏
9、ポーランド独自のクリスマス・ソングをこう呼ぶそうですが、まあそう言われてみれば(笑 クリスマスシーズンを狙っての収録? 8と9は繋がっているみたいです。

10~12は3つのパートに分かれた組曲形式になっているようで、牧歌として収録されています。

10、神父が説教をしているような歌い回しが面白い、ちょっとサイケで浮遊感のある曲。
11、ポーランドのグループらしいドカドカした演奏が心地よいポップ・ビート。
12、クリスマスについて歌っているとはとても思えない、村祭の酒宴のような空気を持った陽気なトラッドっぽい曲。ちなみに、一般的にミサの終わりにキリエの旋律を演奏して締めるそうですが、この曲のラストでもそうなっています。

全体的に言えるのですが、楽曲も構成も素晴らしい完成度を誇っており、先にも述べたように、ポーランドものの名盤の一つといって差し支えないと思います。
ぶっちゃけ、Czerwono-Czarniの他のアルバムよりこれのほうがおすすめです。

現在は廃盤で入手しづらい状況ですが、本国では重要なアルバムの一つなので、いずれまたリイシューされると思います。

できればジャケはオリジナルに戻して欲しいな(笑


今回の記事は結構気合入りました。
翻訳の限界もあって、はっきり分からない部分も多かったものの、おそらく日本でここまで紹介されたことは無いと思います。

と自画自賛(笑


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コメント

主よ、神のご慈悲により、このアルバムを体験できたことに深く感謝いたします(笑)。

コレはミサの知識皆無の無臭狂じゃなかった無宗教な私のような人間にも、純粋にコンセプト・アルバムとして楽しめるとってもユニークな作品ですね~!
個人的には、あのでっちあげプルーンズによる宗教アルバムよりも、こっちの方が断然好みです。
特に(たぶん1曲目の後半部分の)まるでハシシで恍惚状態になってる原始宗教みたいな、フリークアウトぶりには度肝を抜かれましたよ~!
こんなん教会で実際にやったのかぁ~(笑)?!
ポーランドの密かな先進ぶりを思い知らされた1枚でした~♪

  • 2010/07/06(火) 19:55:13 |
  • URL |
  • クロム #ybSqUg1.
  • [編集]

クロムさん、こんにちわ。
結構気に入っていただけたみたいでよかったです♪
調べてる時にやたらミキプルーンズの名前が出てきたのは、彼らも似たようなコンセプトのアルバムを出してたんですね。
僕のUSものの弱さを露呈してますね(笑

レオン神父は、そういう新しい要素を取り入れられる柔軟な発想を持った方なんでしょうね。

敬虔なカトリックの国、ポーランドらしさに溢れた1枚ですねー。

  • 2010/07/09(金) 17:05:21 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]
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  • Author: Graham
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