あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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Ranger Sound

今回は、ガレージ・フリークビートのファンに人気のある、イタリアのRanger Sound/I Ragazzi Dai Capelli Verdiを紹介したいと思います。

先日kuwaさんとのメールのやり取りで名前が出て、何となくその気になってしまいました(笑
てか、最近シングル数枚のみのオブスキュアなグループばかり紹介してるような気が(笑


イタリア北部の地方都市パドヴァで結成されたRangersというインスト・グループが原点で、ブリティッシュ・インベイションの嵐の後の65年、ボーカリストにFranco Serenaを加えてRanger Soundが誕生しました。

FrancoはRangersのライヴを観て、素晴らしいボーカリストの必要を感じたそうで、まあ、それが彼自身だったと(笑
そんなわけで、Rangersに自分をボーカリストとして売り込んで加入したそうです。
Keith Moonのイタリア版ってところですね(笑

Francoが加入した65年、彼らはStefania Sandrelli主演の映画「Io La Conoscevo Bane(邦題:私は彼女をよく知っていた)」にちょっぴり出演しており、ダンスクラブのシーンで演奏する姿を見ることができます。
そのシーン設定もあるとは思うのですが、一般的なRanger Soundのイメージとはかなり違う演奏で、Franco以外のメンバーのルックスもインストグループ的なので、おそらくFrancoが加入して間がない時期と推測されます。

ともあれ、Franco加入後、グループはそれまでのインストのライヴセットを捨て、Kinks・Yardbirds・Who…そしてPretty Thingsなどの、ブリティッシュR&B系のグループのカバーを演奏するようになりました。

当時のイタリアのグループのほとんどは甘口のサウンドで、比較的ワイルドなグループでもソフトなバラードのレパートリーを持っているのが一般的でした。
しかし、Ranger Soundのライヴセットは、最初から最後までソフトな要素がまるでない“ハード&ファスト”な曲ばかりだったそうで、その荒々しい演奏はたちまち評判になり、ホームタウンの北部でのライヴでのチケットは常にソールドアウトだったそうです。

イタリアの徴兵制度の影響もあってか、メンバーはかなり流動的だったようですが、うまい具合に中心メンバーのFrancoとリードギターのOlivieru Peciは籍を外すことがなかったため、その鋭い刃が錆びつくことはありませんでした。

その評判を受けてCDBレーベルと契約、1stシングルのレコーディングを行います。
当時のラインナップは、Franco(vo)・Oliviero(G)・Antonio Costantini(G)・Tony Corazzina(B)・Gastone Paggiaro(Ds)の5人。

66年CDBからの1stシングル「Noi Siamo Felici/Ricordami」をリリース。
オーソドックスなビート・ポップのA面よりも、B面の荒々しいフリークビート「Ricordami」のほうがファンに衝撃を持って迎えられ話題になったものの、こういった荒々しいサウンドになれていなかったイタリアのDJには嫌悪され、その結果放送禁止になってしまい、チャートを駆け上がることはできませんでした。

当時ヒットはしなかったものの、その衝撃は語り継がれ、現在ではイタリアン・ビート最強の逸品として高い評価を受けています。

資料によっては「Ricordami」が彼らのオリジナル曲のように述べられているものがありますが、このシングルの両面ともAlfredo CristaudoとLouis Nonaというプロの作曲家の手がけた曲で、彼らは後年のI Ragazzi Dai Capelli Verdiのシングルでも作品を提供しています。
当時のイタリアでは、グループの自作曲をレコーディングすることは非常にまれだったようで、日本のGSと同じようにプロの作曲家の作品をレコーディングするのが定番だったみたいです。

その荒々しい演奏のせいもあってオリジナルっぽく感じますが、楽曲自体はオーソドックスな展開のポップな曲で、「僕を忘れないで」というタイトルにしても、Ranger Soundのサウンドに含有されるある種の「怒り」のようなものが感じられませんね。

それにしても、作曲した2人もこんな風に料理されるとは夢にも思っていなかったでしょうね(笑
元のデモテープが聴いてみたいものです(笑

ライヴでは人気があるにもかかわらず、シングルが売れなかった彼らに対して、CDBのお偉いさんは何をどう考えてそうなったのか、トップ10グループになるには、外見とグループ名を変える必要があるという結論になったようです。
ま、つまりイタリア語のグループ名に変え、ソフトなルックスとサウンドを要求したと言うわけですね。

CDBの要求に従い、Ranger Soundは「緑の髪の少年達」という意味のI Ragazzi Dai Capelli Verdiと改名。
長ぇよ(笑
いつの時代も、偉いオヤジの考えはズレているものですが、こんな長ったらしい名前に変えたメリットは皆無だったのではと思いますし、どう考えても元のRanger Soundのほうが呼びやすいしかっこいいですね。

a334.jpg
I Ragazzi Dai Capelli Verdi

改名後にFrancoとOliviero以外のメンバーが入れ替わり、残った2人にMaurizio Elponti(G)・Paolo Giuffrida(B)・Francesco Stoppa(Ds)というラインナップに変わっています。

改名後の最初のシングル「Ragazza Notte/Un Tipo Per Te」は、新しいグループ名に合わせてグリーン・ヴィニールでプレスされたそうで、グループに対するレーベル側の期待を感じさせます。
このシングルの現物の写真を見ましたが、ややパステルがかったソリッド・グリーン・ヴィニールで結構そそります(笑
「ソフトなサウンドを」という要求に応えることと、自分達のサウンドを保つことのバランスを取ることに苦心したようで、A面曲はミディアム・テンポのラーガ・ロックという手法で何とかうやむやにしたようです(笑
しかし、B面曲はシレッとRanger Sound時代とほとんど変わりないサウンドで押し通しており、つまり実は何も変える気はなかったようです(笑
やるねえ(笑

67年に入ってからの2ndシングルでは見逃してもらえなかったようで、両面とも彼らの本来のスタイルからするとかなりポップな仕上がりになっています。
もっとも、一般的なイタリアン・ビートの連中の曲と比べれば、十分にビート感のある仕上がりになってはいますけどね。

2ndシングルのリリース後、グループは危機に直面します。
何と、所属レーベルのCDBが倒産してしまったのでした。
そんなわけで、ほとんどプロモートされなかったようで、またもやシングルは売れずに終わり、グループは解散の道を選んだのでした。

Ranger Sound/I Ragazzi Dai Capelli Verdiは、その短い活動期間の最初から最後まで偉いオヤジ達に翻弄された、不運なグループだったと言えます。

しかし、残された伝説的な楽曲は今も愛聴されており、世界中で新たなファンを獲得し続けています。






Ranger Sound/I Ragazzi Dai Capelli Verdiは、66~67年の間に以下の3枚のシングルをリリースしたのみで、残された楽曲はたった6曲ですが、どの曲も編集盤を集めて拾っていく価値のあるものばかりです。

*Ranger Sound
1a:Noi Siamo Felici (A.Cristaudo-L.Nona)
1b:Ricordarmi (A.Cristaudo-L.Nona) CDB 1085 `66

*I Ragazzi Dai Capelli Verdi
2a:Ragazza Notte (Mogol)
2b:Un Tipo Per Te (A.Cristaudo-L.Nona) CDB 1096 `66
3a:Una Citta' In Fondo Al Mare (Vesta-A.Cristaudo-S.Magri)
3b:Ma Saprei (R.Davies-Lombardi) CDB 1103 `67

最初に彼らの曲を聴いた時、オリジナル曲なのではと期待したのですが、残念ながら全て他人の作で、やはり当時のイタリアの音楽業界の慣習に従ってプロの作曲家の提供した曲をレコーディングするしかなかったか、あるいはメンバーの作曲能力がおぼつかなかったかのどちらかだと思われます。

まず、Ranger Sound名義の唯一のシングルから。
両面とも職業作曲家のAlfredo CristaudoとLouis Nonaの作品で、1aはミディアム・テンポのR&Bスタイルで、B面でのランチキぶりに対して、かなりオーソドックスにサラリと演奏しています。
彼らの楽曲で最も知られていて最も人気のある1bは、ヒストリーの方で述べたとおり、歌詞も曲も基本的にはポップなスタイルですが、彼らはオリジナルのアレンジよりかなり高速&荒っぽく演奏していると推測されます(笑
一言で言うと、Kinksの「Till The End Of The Day」をPretty Thingsが演奏しているような感じでしょうか?
とにかく、当時のイタリアでこれほど荒々しい楽曲はなかったでしょうし、彼らもさすがにA面にする勇気はなかったようです(笑
或いはレーベルからAB面を逆にするよう強要されたか(笑

I Ragazzi Dai Capelli Verdi名義での1stシングルは、前述のとおりレーベルの要求と自己のスタイルの保持のバランスを取るのに苦心したのを垣間見ることができますが、そのかいあってAB面とも素晴らしいできばえになっています。
レーベルの要求に従ってソフトにしたつもりという2aは、ミディアムテンポとは言え、ラーガフレーズのギターが怪しげなサイケなスタイルで、ラーガ・ロックにアレンジすることで何とか妥協点を見つけたという感じなのでしょうが、今となっては新しいスタイルを構築したとも言えますね。クレジットのMogolというのはGiulio Rapettiという作詞家のペンネームだそうで、単独でクレジットされていると言うことは作曲も手がけたのでしょうか?
しかし、調べてみると彼は基本的に作詞しか手がけていないようで、なぜ作曲家がクレジットされていないのかは不明です。
ほとんど本来のスタイルと言えるハード&ファストな2bは、B面は好きにやってもいいと言われたのか、こっそりとねじ込んだのかは不明ですが、「やっぱり俺らはこうでないと」という声が聞こえてきそうなノリノリの演奏です。
ちなみにこの曲は、1a&1bと同じくAlfredo Cristaudoから提供を受けており、前作であれだけ荒々しくやられたにもかかわらず再び提供しているところを見ると、もしかしたら彼らを気に入っていたのかもしれません(笑

彼らのラストシングルになってしまった67年の3a&3bは、前作が思わしくなかったせいか両曲ともレーベルの要求を完全に呑む形でレコーディングされたようで、彼らとしてはかなりポップな仕上がりになっています。
これまでの2枚のシングル曲と比べると、そういう意味でちょっとランクが落ちますが、それでも同時期のイタリアのグループのレベルで考えると、十分いいできばえだとは思います。
3aは再びAlfredo Cristaudo、そしてI DelfiniのギタリストSergio Magriの共作で、I Delfiniのイメージに近いオーソドックスでポップなビートスタイルの曲、3bはKinksの「Kink Kontroversy」収録の「It's Too Late」のイタリア語カバーで、わりとストレートなカバーです。
彼らとしてはかなり妥協した形でレコーディングされたわけですが、そのかいなくリリース直後のCDBの倒産によってチャンスを失ってしまったので、どうせこうなるのなら好きにやりたかったなと思ったのではないでしょうか?

全6曲というマテリアルの少なさもあって、Ranger Sound/I Ragazzi Dai Capelli Verdi単独でのリイシューは全3枚のシングルをまとめたアナログ「Singoli Anni '60 (Hate Records Hate 32)」のみです。

緑の髪にしています(笑

このミニ・アルバムは、I Ragazzi Dai Capelli Verdi時代の逸話に合わせて、ソリッド・グリ-ン・ヴィニールでプレスされているそうで、オマケでポスターまでついている愛情を感じさせるリイシューで、聴くことはできませんが個人的にも欲しい1枚です。

あとはオムニバスで拾って行くしかありませんが、ガレージ系のオムニバスの常連なのでLP/CDともにアイテム数が莫大存在し、全部を取り上げるのは面倒(笑)なので、比較的入手しやすいと思われるオムニバスCDを3種ほどあげておきます。

a336.jpg

(画像左から順に)
60's Beat Itariano Vol.1 (Get Hip GHAS-5004 CD)`97(1b/2a/2b収録)
Roma Raveup (Wild World 003)`02(1b/2a/2b収録)
Trans-World Punk Rave-Up (TW-6465)(1b収録)

この中では「60's Beat Itariano Vol.1」が、3曲収録されているし音質も一番いいかなと思います。

あとの他のオムニバスは、現在では入手が難しいかな?
タイミング次第かもしれませんが…。


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コメント

イタリアのガレージ!
すごい気になってたんですよ~

というのも以前、ネットラジオのShoutcastで
ミラノ在住の60sガレージマニアのお方が放送してて
イタリアのガレージロックをたくさん流してくれてる素敵な放送局があったんですよ~♪

今はもうそのお方はやってないので聴く機会がなくなってしまったのだけど…

この記事、参考にさせていただきますね♪
ありがと~!(*・∀・*)

  • 2011/10/22(土) 18:23:57 |
  • URL |
  • もりたん #ZA9zVw0U
  • [編集]

†もりたんさん
イタリアは基本歌唱民族のせいか、R&B/フリークビート感の高いものはごく一部で、ほとんどの曲は甘口のポップなものです。
すごいキラーなグループはシングル数枚しか残していなかったりすることが多いので、オムニバスを追いかけて集めた方がいいものが集まるかもしれません。

  • 2011/10/24(月) 14:42:29 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]

こんばんは!

久々コメです…

イタリアはおっしゃる通り甘口なのが多いですね…
ラブソングを歌いあげるっって感じですかね?
派手にオーケストラ導入したりあまりいいものに当たった気がしません。

ただ紹介されてる60’s Beat Italianoはガレージ好きにはいいですね。RANGER SOUND初めて聴いたのもこれでした。
僕、これオリジナルって思ってましたよ…
ちょっとがっかり…
このオムニバス熱気ありますけど以外と単調で飽きます(笑)
LA SETTAの歯切れ良いカバー好きです

  • 2011/10/25(火) 22:26:10 |
  • URL |
  • kuwa #-
  • [編集]

†kuwaさん
イタリアものはある程度手を出したら、ある種のためらいが出てきますよね(笑
ポップならまだいいのですが、本当に甘口ですからね。

Beat Italianoは結構勢いのある曲ばかりなので最初は面白いのですが、やはり単調で「ねじれ感覚」に欠ける面があるので、確かに飽きますね。

今、CDのイタリア語のライナーを訳しているのですが、当時のイタリアの著作権に絡む事情で、楽曲のクレジットに関してはちょっと怪しい面があるようです。
今週末くらいに、この記事を加筆修正しますので、またチェックしてみてください。

  • 2011/10/27(木) 17:17:59 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]
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  • Author: Graham
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    この自画像は、漫画友達の「ゆったりの間」管理人さん冬灯紗沙さんに描いて頂いたもので、さり気に対になっていたりします。

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