あるにもあらず 過ぐるわが身は

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69年にはカラー写真が!
Olympic 1969:(L to R)Ladislav・Petr・Jan・Pavel・Miroslav



さて、調査が難航して後回しになっていたOlympicの続きを。
チェコスロバキアものを重視しているのに、最も重要なグループのOlympicが「Želva」しか紹介していないってのもね(笑

1stアルバム「Želva」の大ヒットのごほうびとして、彼らはTV番組の収録とツアーを兼ねた長期の休暇をフランスで過ごすことになりました。
当時はプラハの春真っ盛りだったので、自由に海外に渡航できるタイミングだったのです。
パリ観光や、海水浴(チェコスロバキアには海がないので、結構楽しみだったのでは?)を満喫した彼らですが、その矢先の68年8月21日、本国がワルシャワ条約機構軍に占領されてしまった事を知りました。
メディア・電話などの情報や、空港などの封鎖によって本国の情勢を思うように知ることができないうえに、帰国もままならない状況になってしまいました。

とりあえず、本国でのTV番組「Olympic V Pařiži」用の映像を収録し、Five Travellers名義でフランスでリリースするEP(フランスVega 2.329)用に4曲をレコーディングしてリリース。

かなりレアだそうです

Five Travellers名義にしたのは、一般的にOlympicという名詞はやはりあの「オリンピック」をイメージさせるので、プロモーションの面での不都合を考えたのかもしれませんが、それにしても安直なネーミングですね(笑

予定をこなすと取り立ててやることもなかったようで、無為に時間を浪費するはめになり、ようやく帰国できたのは何と12月になってからで、当初の予定よりも遥かに長い、そして不安な休暇だったようです。

ともあれ、帰国して間もなく、2ndアルバム「Pták Rosomák」のレコーディングを開始、年末にはルツェルナ・ホールにて2nd Czechoslovak Beat Festivalに出演。

年が明けて69年1月までレコーディングを重ねて完成された「Pták Rosomák」がリリース、前作と同じくポップかつほの暗いサイケなサウンドが好評を得てヒットしますが、今回のアルバムは前作「Želva」とは違った重暗さが感じられる内容でした。

「Pták Rosomák」リリース後、主演したJan Antonín Pacákとともにグループで収録に参加した「Cesta, která vede nikam」での映像では楽しそうな姿を見せる彼らでしたが、この頃すでに暗雲は立ち込めていたのでした。

同年4月、ルツェルナ・ホールでのライヴを最後に、Pavel Chrastina(B.Vo)が脱退。
映像制作の仕事に転向するために勉強をするというのがその理由で、実際後年彼はTVでの仕事に就くわけなのですが、Petr Jandaとの確執もあったようです。

ApollobeatからJan Hauserが移籍してベーシストの席は埋まったものの、端正な顔立ちのイケメンで、それまでレパートリーのほとんど全てを作詞していたPavelの抜けた穴は大きく、以後は作詞を外部のライターに依頼することになります。

Pavelの手がけた詞のタイトルは、「Psychiatrický Prášek(精神科の粉末)」「Pták Rosomák(クズリ鳥)」など風変わりなものが多かったのに対して、以後は「Anděl」「Dynamit」などタイトルだけで内容が予想できるシンプルな印象に変貌しました。
もっとも、検閲にかからないように無難な歌詞にすると、自然とそうなってしまったのかもしれませんが。
また、69年から再びメディアに対する検閲が厳しくなったことで、自由に作詞ができなくなることに嫌気がさしたのも、脱退の一つの理由だったのかもしれませんね。

ともかく、Pavelの脱退はのちのOlympicの目まぐるしいメンバーの入れ替わりの序曲となったのでした。





Olympicの2ndアルバム「Pták Rosomák」は、前述の68年12月~69年1月にレコーディングされたマテリアルにシングル曲を加えて制作され、69年にリリースされています。
タイトルは「クズリ鳥」という空想の動物(たぶん作詞したPavelかJanのアイデア)のことで、前作と同じくJanがデザインを手がけたジャケットで、メンバーの写真のコラージュで「クズリ鳥」がかたどられています。
SGT.Pepper'sを意識してか、ジャケットつきの1stプレスには以下のようなインナーが付属されていて、現在これが付属した状態の物はなかなか出てこないそうです。
これもJan Antonín Pacákのアイデアでしょうね。

何か干し首みたいでちょっと怖い(笑

CDでも数回リイシューされているようですが、現在最も入手しやすい最新のSupraphon盤がやはりおすすめです。

a369.jpg

Pták Rosomák -Zlatá Edice- (チェコSupraphon SU5535-2)`05

以前に紹介した「Želva」と同じく、スリップケース&ボートラつきのリマスター・ゴールドCDで、音質・音圧とも抜群にいいです。
ちなみに、スリップケースはジャケットの部分がのぞき窓になっていて、外すと上の画像の右側のような体裁になっています。

a367.jpg

アルバム収録曲中、Ladislav作の2を除いて、全てPetr Janda/Pavel Chrastinaのコンビによる曲で、ワルシャワ条約機構軍による自国の占領とPetrとPavelの確執による緊張感の中でレコーディングされたせいか、前作「Želva」と同傾向のサウンドスタイルながら、また違った意味のほの暗さを感じさせるアルバムです。

シタールをフューチャーしたLadislav作の2は、このアルバム中最もサイケなスタイルの曲で楽曲もアレンジも面白いが、Ladislavのボーカルが少し弱いのが残念なところです。
他にも彼はPetr作の8・9のボーカルも取っています。
やはりPetr/Pavel作の楽曲の完成度は高く、ざっくりとしたサイドギターとバリバリのファズギターの対比が面白い1&6、ドラマーらしいリズム感を意識したJanのボーカルが楽しい4、中間の轟音ファズのフリーキーなフレージングがかっこいい5、ドラマティックな展開の7&10、ヨーロッパ的なノベルティソング12など、さすがとしか言いようがないですね。
Petr作の楽曲は、全て彼自身がボーカルを担当しているわけではなく、前述のLadislavのようにメンバーに振り分けてられています。
4はJan、11&12はPavelがボーカルを担当しており、ある程度メンバーのキャラクターも意識していて振り分けられている節があるのも面白いですね。
しかし、元もキャッチーで完成度の高い1&6のような曲ではやはりPetrがボーカルをとっており、彼のクセのある巻き舌ボーカルがOlympicの看板である事を象徴しています。

また3&10の持つ暗さは、チェコスロバキアが希望に満ち溢れていた68年にリリースされた「Želva」にはない、69年のプラハの重暗い空気を感じさせ、現在ではOlympicの1st~3rdアルバムを聴き進めると、当時のチェコスロバキアのドキュメントのサウンドトラックを聴いているような気分になります。

ボートラは66~68年のシングル・EP音源で、前述のような制作時期の状況の決定的な違いがあるので、本来なら「Želva」に追加するべきかなとは思いますが、この2つのアルバムはサウンドスタイルが近いので、違和感はありません。
Olympicらしい勢いのある13と当時未発表だった17がいいですね。
ちなみに、16は「Želva」収録曲「Snad Jsem To Zavinil Já」の、15はボートラに収録された「Bloud Král」の英語バージョンです。

Five Travellers名義のEP収録の4曲「Story Of A Wonder(1の英語バージョン)」「I'm Stupid(同6)」「Midsummer Night(同5)」「Pohřeb Své Vlastní Duše (My Funeral March)」は全てこのアルバム収録曲ですが、このEPバージョンは68年夏にフランスでレコーディングされた全くの別録音で、このレコーディングのマスターは本国に持ち帰っているようですが、アルバムのレコーディングではバッキングトラックも使用しなかったようです。
TV番組「Olympic V Pařiži」では、このEPバージョンが使用されています。

この非常にレアなフレンチEPバージョンは、以下のCDに収録されています。

Olympic Singly Ⅱ (チェコBonton 71 0442-2)`96

現在は廃盤ですが、日本にもある程度流通したようで、たまに中古で出ることがありますので、Olympicが好きな方・興味のある方は見かけたらぜひゲットしてみてください。



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