あるにもあらず 過ぐるわが身は

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この人が作曲したのか(笑
R.Froggatt Band 1968:(L to R)Raymond・Leonard・Hartley・Louis

9.9:Monopolyについて加筆


Raymond Froggattは日本ではほとんど知られていないフォーク・カントリー系のシンガーソングライターですが、DC5の68年のヒット曲「Red Balloon」を作曲した人と言えば、お分かりの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

僕は88年ごろからDC5を聴き始めたのですが、当時からこの「Red Balloon」がお気に入りで、珍しいファーストネームの作曲者も非常に気になっていましたが、当時はネットはおろか資料もろくになかったこともあって、なかなかオリジナルバージョンを聴く機会に恵まれませんでした。

で、先日JDさんのとこで読んだDC5の記事がきっかけで、「そういえばあれのオリジナルが聴きたいな」とフラッシュバック、某つべでうpされていたのを聴いて、長年の願望を果たしました。

しかし、そこで収まらないのがヲタの悲しい性で、他の曲も聴いてみたくなってCDをゲット、さらにこうして記事を書いてしまうのでした(笑

それにしても、マイノリティ好きの僕らしいチョイスだな(笑

FroggyことRaymond William Froggattは、イギリス・バーミンガムで1941年11月13日に誕生。
幼い頃に父親を亡くし、結核を患ったりと厳しい少年期を過ごした彼は、学校生活さえもままならない状況だったそうです。
青年期になると、日雇いの仕事をしつつ合間に作詞作曲を始め、パブなどで歌ったりもしていたそうです。
病気が治ってから、彼はBuccaneersという地元のグループにヴォーカリストとして加入、バーミンガムとその近郊でギグを行いようになりました。

BuccaneersのラインナップはRaymond(Vo)・Hartley Cain(G)・Louis Clark(B)・Leonard Ablethorpe(Ds)の4人で、他にもメンバーの出入りがあったようですが、基本的にはこの4人で活動していたようです。
ちなみに、Louis Clarkは後にELOに参加したことで有名です。

67年、Monopolyと改名したグループはPolydorと契約、2枚のシングルをリリースするもさっぱり売れなかったようです。

68年、シングルは売れなかったがRaymondのソングライティングに期待するのもがあったのか、Polydorはグループ自体はそのままで彼のソロ名義でレコードをリリースすることにしました。

その第1弾シングルが「Red Balloon」、原題「Callow-La-Vita」でした。。

「Callow-La-Vita」は、Raymondがパリに旅行に行った時、子供たちの風船を持ってやる遊びを見てインスパイアされ、冒頭の歌詞の「marry the farmer's Daughter」というくだりは、この遊びの一区切りのフレーズを引用したものだそうです。
タイトルや3番の歌詞がフランス語なのも納得のエピソードですね。
ただ、このポップでかわいらしい曲を書いたのが、こんなヒゲ面の気難しそうなルックスの人だったことは驚きましたが(笑

Raymond、そしてMonopoly改めR.Froggatt Bandがレコーディングした「Callow-La-Vita」は同年シングルとしてリリースされ、この曲を気に入ったRadio 1が頻繁にエアプレイしたものの、これまたなかなか思わしくなかったようです。

そして、Radio 1でかかっていたこの曲を聴いて、次のシングルとして採用を決めたのがDave Clark社長だったと言うわけです。
社長は独自のアレンジを施し、「Red Balloon」とタイトルを変えてリリース、全英7位のヒットになったことは周知のとおりですね。
DC5のヒットに乗じて、Polydorもタイトルを「Red Balloon」にして再びシングルをリリースしましたが、残念ながらほとんど相乗効果はなかったようです。

競作してDC5に負けたような記述がありますが、実際は上記の通りRaymondのシングルの方が先にリリースされており、DC5のバージョンがチャートにのぼった頃には徐々にフェイドアウトしたと言うのが実情のようです。

Raymondのオリジナルバージョンは、ドラムレスでストリングスをかぶせたポップでややサイケデリックな印象のアレンジですが、DC5のバージョンは当時お得意だったホーンセクションをバックに、2人のヴォーカルをフューチャーさせ、ポップさとパワフルさを掛け合わせたようなアレンジで、やはりDC5のバージョンの方がヒット性が高いと言えます。
また、タイトルを「Red Balloon」に変更したのはいいセンスだと思います。

と言うと、Raymondのバージョンはイマイチなのかということになりますが、決してそんなことはなく、先に述べた曲のコンセプトを考えると、どこかふわふわとした幻想的なアレンジのRaymondバージョンの方が似合っているように思います。
また、Raymondの独特のコクのあるヴォーカルも非常に魅力的で、僕が某つべに飽き足らず結局CDを買ってしまったことでお分かりいただけるかと思います。

68年だとまだ新人が音楽性だけで売るのは難しい時代だったと思いますし、彼がもうちょっとさわやか系のイケメンだったら、アイドル的な売り方もできたと思うのですが、残念ながら彼の音楽性はちょっと地味な印象があり、近所にいそうな酔っ払いのおじさんっぽいルックスだったので、なかなか売り込むのが難しかったのではないでしょうか?

当時日本でもUKと同じ組み合わせでシングル「カローラ・ヴィータ」が日本グラモフォンからリリースされた(たぶん激レアだと思われます)ようですが、これ以外は全く情報が出てこないのでほとんどリリースされていないようですね。
ま、日本ではDC5のバージョンの方もさっぱり売れていないのでさもありなんですね(笑
ドイツ・オランダなどヨーロッパではわりとちゃんとリリースされたようで、ドイツではTV番組「Beat Club」にも出演、「Callow-La-Vita」「Roly」を演奏した映像が残されています。

a390.jpg
in Beat Club 1968

一場面だけ切り取ると、とてもあの「Red Balloon」を歌っているように見えませんね(笑

へべれけになっているわけではありません(笑
「酒よこせっ!手の震えが止まらねぇんだよっ!」

おい、あっち見んなよ
「俺たちはあかの他人…」

コンビニ行け
「コンビニ行け」

みたいな感じで(笑

余談ですが、「Beat Club」にはDC5も出演しており、「Red Balloon」の映像が残されていますが、ほとんどずっと社長がアップで写っていて、まるで社長がリードヴォーカルを取っているかのような映像で、社長があまり好きでない僕(DC5は好きです)には結構辛いもの(爆笑)があり、映像面では幻想的なフィーリングを持たせたRaymondの方が魅力がありますね。

このシングルは思うようには売れなかったようですが、Monopoly時代よりはだいぶマシだったようですし、知名度は格段に上がってある程度のレコードの売れ行きが見込めるようにはなったようです。
また、ソングライターとしても注目されるようになり、のちにCliff Richard・Joan Baez・Gladys Knight & Pips・Leon Russellなどが彼の楽曲を取り上げています。

ただ、彼自身はヒットに恵まれずに今に到るのですが。

そして、DC5のヒットを好機と見たPolydorはRaymondのアルバムの制作を決定、それまでのシングル曲とおそらくせわしなくレコーディングされたであろうマテリアルをまとめ、同年に1stアルバム「Voice And Writing Of Raymond Froggatt」としてリリース。
チャートインはしなかったようですが、フォーク・カントリー、そしてポップをミックスさせたRaymondのを音楽性を堪能できる、地味ながら味わい深い佳作だと思います。

そして70年までに7枚のシングルと1枚のアルバムをPolydorに残しBellに移籍、その後アメリカに渡ったりイギリスに戻ってきたりした後、現在も地元をベースに活動を続けています。




Raymond Froggattは、68~70年の間にPolydorから8枚(実質7枚)のシングルとアルバム1枚をリリースしています。

国内盤はおろか、本国でも当時のマテリアルはまともにリリースされていませんが、ドイツRepertorieから68年の1stアルバムに68~69年のシングル音源を追加したCDがリリースされており、「Callow-La-Vita」を含むほとんどの楽曲を聴くことができます。
現在は廃盤で、日本ではあんまり出回っていないようですが、そこはさすがのRepertorieなので、Gemmなどで探せば入手可能だと思います。
僕もそれで入手しました。
ギリシャのセラーだったので、届くまでちょっと不安でしたが(笑

いいジャケットです。

Voice And Writing Of Raymond Froggatt (ドイツRepertorie REPUK 1023)`04

1 Always Goodbye
2 Corrina, Corrina *
3 Red Balloon (Callow-La-Vita)
4 Lonely Old World
5 ABC Goldfish
6 Sonnet by Hartley Cain
7 Something's Goin' On
8 The Old Accordion
9 Froggatt Went A Courtin' *
10 Jeannie With The Light Brown Hair(A Tribute to Stephen Foster)*
11 We're All Going To The Seaside
12 Roly
Bonus Trucks
13 Callow-La-Vita [Single Mix]
14 Lost Autumn
15 Just A Little Bit Of Love
16 ABC Goldfish [Single Mix]
17 Roly [Single Mix]
18 Time Goes By
19 Ring Ting A Ling
20 Anything You Want
21 Movin' Down South
22 It's Only Me
23 Lazy Jack
24 Hasn't The Lord Blessed You

デジパック仕様で、英文の60年代中心のヒストリーが掲載されたライナーが付いています。

1~12がアルバム収録曲、ボーナスの13~24が68~69年の6枚のシングルAB面、シングル音源となぜか6がモノ、それ以外のアルバム全曲がステレオ、トラッドの*以外は全てRaymondのオリジナル曲です。
そして、4・7~12などでLouis Clarkがすでに編曲を手がけていることも注目に値します。
LouisはR.Froggatt Band活動停止後、この時の事を顧みて Leeds College of Musicに入学し、音楽理論・編曲などを勉強しなおしています。
まさにELO向けの人材ですね。

これを聴くと、彼の音楽的ルーツがフォーク・カントリーにあることが良くわかり、一番有名でポップでちょっぴりサイケなフィールの「Callow-La-Vita」は、彼の音楽性としては実はマイノリティの部類に入ることにまず驚かされます。

ピュア・カントリー的な2・4・8~10、カントリーロック的な1・5・7・11・12、トラッド的なインスト6というアルバム編成で、この中では「Callow-La-Vita」はサウンド的に少し浮いていますが、流してみると意外と違和感はなかったりします。

カラッとしたトーンのカントリー・ロック1、同傾向にもかかわらず妙にパワフルで湿り気のある5、ロデオ期のByrdsとDonovanの味わいが混ざったような7、しっとりと歌い上げる渋い11、この時期の彼の最高傑作の12あたりがこのアルバムのポイントでしょうか?

Raymondのソングライティングは割りとシンプルなものですが、Polydorがなかなか見限らなかった理由が良くわかる味わい深さを持っており、そのコクのあるヴォーカルと相まって、独特の魅力を感じさせます。

また、R.Froggatt Bandの地力のある演奏もその味わいを深めており、特にロック的な楽曲での重いリズムセクションは、やはりブリティッシュならではのフィーリングを感じます。
前述のBeat Clubでの「Roly」のクリップを見ると、カントリー的な楽曲にはいささか重過ぎるほどの重低音がビシビシ響いていてメッチャかっこいいです。
バックバンドとは言え、グループ名は変わっているものの基本64年くらいからずっと同じメンバーで演奏して来ているので、一般的なソロヴォーカリストの楽曲とは一味違う、ロック的な一体感を感じさせてくれます。

ボーナスのシングル音源では、既出を除くと軽快なカントリー・ロックの15、「Callow-La-Vita」の焼き直しっぽいがなかなかいい18、イタリアン・ポップスみたいなサウンドをバックに朗々と歌う20、美しいメロディを持ちながらビート感も持ち合わせた素晴らしい22、彼のコクのあるヴォーカルに良く似合う渋みのあるポップ23あたりがポイントが高いです。

ついでに70年のシングル「A Matter Of Pride / Fisher Boy」も収録してくれれば完璧だったんですが…。

最後に、ソロデビュー前のMonopoly時代について。
Monopolyは67年にPolydorからシングル2枚、そして70年にPyeから1枚シングルをリリースしています。

House Of Lords / Magic Carpet  Polydor 56164 `67
We're All Going to the Seaside / It Isn't Easy  同 56188 `67
We Belong Together / Gone Tomorrow  Pye 7N 17940 `70

Raymondのソロ以上に売れていないようでほとんど情報がありません。
67年の2枚はRaymondが参加していますが、70年のシングルは詳細が不明で、ヴォーカルが似ても似つかないのでおそらく参加していないのではと思われます。
ま、70年の時点では、RaymondおよびグループはPolydorに在籍していますから、わざわざ別レーベルでリリースする必然性がありませんしね。

67年のシングルの「House Of Lords」と「Magic Carpet」だけ聴いたことがありますが、前者はBee Geesのカバー、後者はFroggatt-Bromley作のオリジナルの当時ならではのサイケポップと言った感じです。
「Callow-La-Vita」でのサイケなフィーリングはMonopoly時代の名残なのではと思います。
2ndシングルの「We're All Going to the Seaside」はたぶん「Voice And Writing Of~」の11と同じ曲だと思うのですが、同じテイクなのかアルバム用にレコーディングしなおしたのかは不明です。
70年の「Gone Tomorrow」は、打って変わってハイスピードなフリークビートで、上記の理由と演奏の質があまりにも違いすぎるので、同名の別グループなのではと思います。

楽曲が少ないのもあってリイシュー状況は悲惨ですが、「House Of Lords」がサイケポップのオムニバスCD「Piccadilly Sunshine Vol.4」(イギリスPast & Present PAPRCD2124)に、「Gone Tomorrow」が「同 Vol.7」(イギリスParticles PARTCD4004)に収録されているくらいです。



ネットでググると「Red Balloon」の件以外、呆れるくらい日本語の情報がなかったので、現状では日本での知名度…というかほとんど聴かれていないような気がしますが、ブリティッシュ・ロックおよびカントリー・ロックがお好きな方なら聴く価値があると思います。

ちょっと手に取って欲しいなと感じたので、当初の予定よりがんばって書いてしまいました(笑



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