あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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Sreburnite Grivni 1968:(L to R)Zhorzh・Alexander・Troshan・Valentin・Panayot


さて、今回はShuturciteと共にブルガリアのロック黎明期のグループとされる、Сребърните Гривни[Sreburnite Grivni]を紹介します。

「silver bracelets」という意味のこのグループは、62年9月、Валентин Стефанов(Valentin Stefanov)とАлександър Петрунов(Alexander Petrunov) の2人によってソフィアで結成した「Little Shadows」が原点で、後に「Огнените момчета(Fire Boys)」と改名、その名の通り当初はShadowsのカバーなどのインストを、そしてビートブーム到来後はKinksの曲などをやっていたそうです。

そして、65年9月にSreburnite Grivniと改名。

この時点でのメンバーは、以下の4人。
Valentin Stefanov G.Vo
Alexander Petrunov B.Vo
Трошан Владовски(Troshan Vladovski) G.Vo
Жорж-Ян Банов(Zhorzh-Yan Banov) Ds.Vo

1年後の66年9月に全員が軍に召集され一時活動停止。
68年10月に再び活動。
先の4人に加え、Fire Boys時代にZhorzhの前任ドラマーだったПанайот Михаилов(Panayot Mihailov)が、キーボード担当として再加入。
ライヴ演奏・ ソロシンガーБорис Гуджунов(Boris Gudzhunov)のバックとしてTV出演。

69年2月、ブルガリアの有名なコンテストЗлатния Орфейに出演予定だったが、当局によってコンテストにふさわしくないと判断され直前になって出演を却下され、このことでケチが付いてグループは空中分解してしまいます。
Valentinは「Стакато(Staccato)」というグループに、ギタリストといて数ヶ月参加し、秋には再びグループを復活させました。
Valentin・Alexander・Zhorzhに、Staccato時代に知り合ったギタリストГеорги Минчев(Georgi Minchev)を加えた4人に。

この前後の時期、ブルガリアで最も人気のあったShuturciteが当局の圧力によって活動が停滞しており、Sreburnite Grivniはシーンを牽引すべくTV・ラジオ・ライヴ、そしてレコーディングと活発に活動を繰り広げます。

Sreburnite GrivniはライバルのShturciteとほぼ同傾向のサウンドですが、ポップなメロディーをゴリゴリのファズギターや手数の多いドラムなどでパワフルに演奏しており、Shturciteよりもワイルドな印象があります。
ほんのりとブルースロックやハードロックへの憧れもあったようで、そういった要素をポップなサウンド中にさり気に取り込んでいるのも彼らの持ち味だと思います。。
甘口な曲もありますが、ビート・グループへの制限の多かったブルガリアでは避けることはできなかったのだと思います。

a428.jpg
Sreburnite Grivni Late Years

70年に入ってすぐにZhorzhが脱退、Георги Станков(Georgi Stankov)加入。
同年4月にはGeorgi Minchevが脱退し、Zhorzhがドラムスに復帰、Georgi Stankovはキーボードにシフト。
しかし、同年の秋口までZhorzhは出たり入ったりを繰り返していたようで、しばしば代わりのドラマーを加入させていたようです。
秋になってПетър Славов(Peter Slavov)が加入してようやくドラマーは安定し、さらにフルート・サックス担当のСимеон Щерев(Simeon Shterev)が加入。
71年の晩冬にはSimeonが脱退し、残された4人のままで71年8月の解散を迎えることになりました。





Sreburnite Grivniは、65~71年の間にシングル1枚・EP(全て他アーティストとのスプリット盤)8枚と、TV・ラジオ音源とサントラなどで合計36曲を残しています。
もう1枚シングルかEPがあるという話もありますが未確認です。
レコードとしてリリースされた音源とTV・ラジオ音源がほぼ半々なのと、録音年とリリース年の違う曲が存在していますので、今回は全曲を録音年別でリストしました。
判明しないことが多いのですが、特記のないものはTV・ラジオ音源と思われます。

`65
Shadoogie

`68
1.Наш Е Този Свят(Nash E Tozi Svyat)
2.Ладо, Ладо Ле(Lado,Lado Le) `70ep ⑤[Коладо, Ладо Ле]
Теб Те Няма Сега(Teb Te Nyama Sega)[Simon Says]

`69
3.Момчето, Което(Momcheto Koeto) `70ep②
4.Дай си, Въсе, Ръчицата(Dai Si Vuse Ruchiata)`69si① org
5.Зарезан(Zarezan) `70ep②
6.Сватба Се Вдига, Майно Льо(Svatva Se Vdiga.Maino Luo)*go
Пустоно Лудо И Младо(Pustono Ludo I Mlado)[Oh Well]`69si①
Тази Нощ(Tazi Nosht)

`70
7.Елените(Elenite)
8.Вечеряй, Радо(Vecheryai Rado) `70ep⑤ org
9.Есенно Слънце(Esenno Slunce) *go
10.Скъпа Ани(Skupa Ani)[Sugar, Sugar]
11.Хроника 70(Hronika 70)
12.Лудо-Младо(Ludo Mlado)
13.Рожден Ден(Rozden Den)
14.Сурвакари(Survakari)
15.Ружица(Ruzica) `70ep⑥
16.Улица Раковска(Ulitsa Rakovska) `70ep⑥
Венера(Venera)[Venus]`70ep③
На-На-Хей-Хей(Na-Na-Hei-Hei)[Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye]`70ep④
Пеликан(Pelikan) `70ep④*st
Песен За Моята Родина(Pesen Za Moyata Rodina)
Проксима(Proxima)`70ep③ *st

`71
17.Бяла Песен(Byala Pesen)
18.Песен От Цифри(Pesen Ot Cifri)
19.С Палатка И Китара(S Palatka I Kitara)*go
Едно Момче Си Свиреше С Уста(Edno Momche Si Svireshe S Usta)`71ep ⑨
Котката В Торбата(Kotkata V Torbata)`71ep⑦
Светът Е Голям(Svetut E Golyam)[All Kinds Of Everything]`71ep⑦
Стрели(Streli)`71ep ⑧
All Right Now
Marrakesh Express
Music Like Dirt
Something

*st…Sound tracks
*go…Golden Orpheus出品作
*org…オリジナル曲

こうしてみると、Shturciteの活動が停滞していた70・71年の録音が多く、彼らがシーンに大きく開いた穴を埋めていたのがよく分かります。
また、69~71年の間、毎年Golden Orpheusに出演している(69年にはゴタゴタがあったようですが)ことからも、当時の人気がうかがえます。

Balkantonはシングルはほとんどリリースせず、複数のアーティストを合わせたスプリットEPでリリースするのが一般的だったようで、何だかいろいろな事情を想像してしまいますね。

ここでは未聴&イマイチだったものを除いた、通し番号をつけた曲だけを簡単に紹介します。

1は68年のTV番組用に録音されたもので、幼稚園児に囲まれて演奏するクリップが残されています。
ポップな楽曲をファズギターとドカドカドラムで彩った彼ららしい活気のある演奏で、ベストな1曲にもかかわらずレコードでリリースしなかったことが悔やまれます。
2は同じくポップなメロの曲ですが、Valentinのワウギターが背後を飛び交うややサイケなサウンドで、これもベストな1曲です。
3はShturciteと同傾向の朗々としたヴォーカルが印象的なフォーク・ロック。
4はKey担当のGeorgi Stankov作の数少ないグループのオリジナルで、ハードな演奏をフューチャーしたサイケなブルースロック。
妙なタイトルの5は60年代末のラーガ的なギターフレーズがうねるややシュールなサイケポップ。
6はほんのりハードなフリークビート~サイケポップで、件の騒動のあった69年のGolden Orpheus出演作。確かにこういう甘口な曲が集うコンテストで演奏するにはワイルドだったかもしれません(笑
7はちょっとわが国のGSに相通じるものが見えるドラマティックな展開のサイケな曲で、チープなオルガンの響きに哀愁を感じます。
8は再びGeorgi Stankov作で、Crosby & Nashのようなややシュールなハーモニーとブルージーなギタープレイが合わさったダークなサウンド。
9は前年に引き続きGolden Orpheusに出演した時の曲で、相変わらず彼ららしい活気のあるサウンドではあるものの、前年よりもうまくワイルド感を織り込んでやり過ごしていて面白いです(笑
10は超有名曲のストレートカバーですが、意外と似合っていて面白いです。
11は今までの曲よりも70年代的なムードが出てきている曲で、ブルースロック的なギターとオルガンが響き渡る重厚感のあるサウンドです。
12は楽曲自体はかなり甘口な曲ですが、それをロック的に仕上げる彼らのセンスのよさを垣間見せてくれます。
カバーを除く全レパートリーのほとんどが提供された(というかあてがわれた)曲にもかかわらず、そのほとんどが彼ら流なロックサウンドに仕上がっていることは特筆できると思います。
13は(おそらく)ハモンドB-3の分厚いトーンをフューチャーしたややダークなサイケビート。
14は粒の粗いギターのイントロからポップに展開するチャーミングな楽曲で、ポップなメロにハードなサウンドを織り込む彼らの個性がうまく活かされています。
15はちょっとポップ寄りのアレンジですが、メロが良いのであえてそれを活かしたようで、その判断は成功していると思います。それになんだかんだ言っても奥でドラムがドカドカ鳴っていますしね(笑
16はブルージーなギターが響く重いな前半からスワンプっぽく展開する面白い曲で、60年代から70年代への過渡期のような手触りがします。ラストに「I'm So Glad」っぽいリフで締めているのはちょっと笑いました。
17は71年の曲ということもあってか、前年あたりから感じさせていた土臭さが前面に出てきており、ポップな楽曲の処理の新提案といった感じでしょうか?
18はチープなオルガンが響く、60年代に戻ったかのようなチャーミングなポップビート。
19は71年のGolden Orpheus出演時の曲で、井上陽水の「夢の中へ」ギターそっくりなトーンのイントロの、ハーモニーを活かしたさわやかでポップな楽曲ですが、意外とハマっていてなかなかいいです。

a427.jpg

それ以外の曲についてもちょっと。
カバー曲は超メジャーな曲のストレートカバーばかりですが、面白いのが「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」「Venus」のようなポップな曲と、「All Right Now」「Oh Well」のようなブルースロックの曲という、両極端な取り上げ方をしていることで、マーケットもシーンも小さいブルガリアでの需要に応える事と、自分たちの本当にやりたい事への願望との狭間で揺れていた事を感じます。
カバー曲自体は、ほぼそのまんまのストレートなアレンジでカバーしているのでさほど面白味はありませんが、グループと時代の背景という意味で興味深いものがあります。

個人的には、少なくとも60年代に限ればShturciteよりもロック的なサウンドを堪能できますし、ブルガリアのグループでは一番おすすめのグループなのですが、残念なことにCDでのまともなリイシューは全くなされておらず、せいぜいオムニバスに1曲程度収録されている程度で、リーダーのValentinのグループのサイトで、自らマスタリングしたmp3を無料で配布しているという、非常にもったいない状況です。

今後、きちんとマスタリングされてコンプリートでリリースされる事を強く願います。


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