あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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髪なげぇ(笑
Namelosers 1965:(LtoR)Johnny・Anders・Per・Tommy・Christer


先日Annaabee-Noxの記事を書いた時、「そういえば書いてなかったな」と思い出したのがNamelosers。
その順風満帆とはとても言い難かった「負け犬」的なエピソードと、その荒々しいサウンドとのマッチングは他では得られない独特の魅力があり、「スウェーデンで一番かっこいいグループは?」と聞かれれば、迷わず彼らだと答えるでしょう。

というわけで、60年代ロック、特にR&B系が好きな人は聴かなければ損だとさえ言える、国際的にみても最も暴力的なサウンドのグループの一つであるNamelosersを紹介したいと思います。


1962年、スウェーデン最南部のスコーネ地方にある、海を挟んでデンマークの首都コペンハーゲンと面する都市マルメーのクラブで知り合ったTommy HanssonとJohnny Anderssonが、意気投合してグループを結成する事になったのが始まりでした。

Tony Lee And The Fendersという名のそのグループは、撫で付けた髪でElvisやCliff Richardなどのロックンロールのカバーを演奏していたそうです。
頻繁にギグをこなしていくうちに、正業に就くためにベーシストとドラマーが脱退。
ある日、TommyとJohnnyの行きつけの楽器屋で、「いいベースプレイヤーがいる」という情報を耳にしました。
しかも、そいつはBeatlesヘアーだと。
2人はそのベーシストChrister Nilssonと会いに行ったわけですが、彼はまさにビートルヘアで、しかも愛用のベースはHöfner!
Christerの加入に刺激された2人は、髪を下ろしてレパートリーをマージービートをメインに変えました。
さらにメンバーもTommy(Vo)・Johnny(G.Vo)・Christer(B.Vo)に、Per Arnkull(G)とAnders Lagerlöf(Ds)を加えた5人編成となり、グループ名もBeatlesとSearchersから拝借したBeachersと変えました。

Beachersは地元マルメーのクラブを回り、「Twist And Shout」「Roll Over Beethoven」などをワイルドに演奏し、熱狂のステージを繰り広げました。
地元でもよく知られるようになった彼らは、うかつに街を歩けなくなるくらい熱狂的なファンに追いかけられるようになったそうです。

彼らのうわさはすぐにマルメー近郊北東側にある都市ルンドに伝わり、その風のうわさを聞きつけたUrban Lassonが彼らのもとに現れ、Urbanは彼らのマネージャー・プロデューサーの座に就きました。

64年11月、彼らはViking Records(詳細不明ですが、おそらくストックホルムの南のフォルスタに所在したマイナーレーベル)で6曲レコーディングし、その中から4曲を選んで12月にEPとしてリリースし、スウェーデンのトップ10番組Tio i toppの12位にチャートインし、幸先のいいスタートを切りました。

ところが、一つややこしい問題が彼らを悩ませる事になります。
それは「Beachers」というグループ名で、スウェーデン西端にある都市ヨーテボリにも同名のグループが存在し、そのヨーテボリBeachersが「俺たちのほうが先に使っていたから、君たちは早急にグループ名を変えて欲しい」と要求して来たのでした。
正直、どっちが先に使っていたかって言うのは何とも言えないような気がしますし、先にレコードをリリースしたという意味ならマルメーBeachersなんじゃないかなと(ヨーテボリ側の最初のリリースは65年)。
ともかく、結果的にヨーテボリ側の主張が通ったのでしょうね。

困惑した彼らに手を差し伸べたのが、スウェーデンの海賊ラジオ局Radio Sydで、番組内で彼らのグループ名を募集するコンテストを行いました。
その結果採用されたのが「Namelosers」というグループ名だったというわけです。
このエピソードはその筋のファンにはよく知られている話ですが、結果的に彼らの魅力を象徴するものになったと言えると思います。
単純ではあるけど、なかなかにスパイスが効いていてセンスがいいと思うし、彼らのイメージにあるある種の「負け犬」っぽさにも合致したかっこよさがあるし、それにこのグループ名ならかぶらないでしょうし、現在では永久欠番的な名義になっていると思います。

彼ら自身も、「もうBeachersの名前はくれてやってもいい」と思ったんじゃないかな?

名前を譲った(取り返された?)ヨーテボリBeachersは3枚のシングルを残すのみで、1stシングルには誇らしげに「Original Beachers」と表記してあったり、ラストの3rdシングルではかなり甘口になっていたりとなかなかにイタいものがあって、結果的に現在におけるNamelosersとの評価の差は明白になっています。

そんなこともあって名前が轟いたのでしょうか、NamelosersはスウェーデンEMI Columbia(皮肉にもBeachersもレーベルメイトだった)に移籍することになり、VikingでリリースしたEPを名義を変えてそのままリリースしなおすことになりました。
そして、EPからカットされたシングルも同時にリリースされ、こちらは3位のヒットになりました。

改名後のNamelosersは、本国だけでなくデンマーク・フィンランド・オーストリア、そしてスペインにまで出向いて、UKグループの前座を含むツアーをこなしました。
64年12月、JohnnyとChristerはロンドンに出向き、マーキーでWhoのステージを見て衝撃を受けたそうで、その後のステージングに大きく影響したということですから、ツアーに同行したUKのグループたちもさぞかし冷や汗をかかされたことでしょうね(笑

楽しそうかつワイルドに

ツアーから戻ってすぐ、2ndシングル用のレコーディングを行い、彼ら初のオリジナル曲「But I'm So Blue」をB面に収録したシングルを65年4月にリリース。

同年6月には、Rolling Stonesのスウェーデン公演の前座として同行し、地元マルメーのリハーサルホールではStonesの連中とジャムセッションを行い、夜中の3時から日が昇るまでワインとともにジャムったそうで、彼らにとっての最高の思い出になったとか。

また、同時期にAndersとPerが脱退、代わりにGöran Frid(Ds)が加入、ギターはJohnnyが一人で担当することになりました。

少し短めになりましたが反省はしてません(笑
Namelosers 1965:(LtoR)Christer・Tommy・Johnny・Göran

Namelosersと言えば…の一つに轟音ファズがありますが、彼らがファズを入手したのは65年夏~秋あたりのようで、電話会社に勤める彼らの友人が製作してくれたものだとか。
僕の聴いた範囲では、スウェーデンのほとんどのグループがファズを導入するのは66年に入ってからで、自作品で導入した彼らは自国で一番最初にファズったグループなのではと思います。
Namelosersはもともとワイルドな演奏スタイルでしたが、このファズの導入によってさらに凶暴なサウンドになって行くことになります。

このファズを引っさげて最初にレコーディングしたのが「Land Of 1000 Dances」と「Susie Q」で、彼ら流に荒々しいアレンジがなされたデモを聴いたUrbanは、すぐにコペンハーゲンのスタジオでのレコーディングを手配したそうです。

このファズをフューチャーしたシングルは12月にリリースされ、Tio i toppで今週のベストニューリリースとしてエアプレイされたものの、チャートでは自分たちの予想ほど奮わず11位どまりで、番組を聴いて落胆した彼らはラジオを窓の外に放り投げてしまったそうです。

独創的なアレンジでレコーディングされた「Land Of 1000 Dances」は、評価は高かったしライヴでの人気も高かったものの、レコードの売り上げは思わしくなく、それに対する報酬も支払われなかったそうです。
また、プロモーターはグループにソフトで落ち着いた演奏を要求し、グループがそれを拒否するといういざこざがしばしば起きるようになり、Namelosersはその活動を維持することが難しくなって行きました。


余談ですが、スウェーデンEMI系列に所属していた、ShanesやAnnaabee-Noxなどの長髪R&B系のグループが、65年末~66年の間で長髪を切りポップ化しており、Namelosers(彼らも65年末には長髪を切っています)のいざこざや解散とも時期が重なっており、レーベル内あるいはスウェーデンの音楽業界内で何からの動きがあったような気配を感じます。
ただ、あまり具体的な資料が見つからないので、これはあくまでも僕の推測にすぎないのですが、それにしても非常に気になるものがあります。


そして66年8月の終わり、Namelosersは解散を発表。

「僕らの人生における最悪の日の一つだった、間違いなく。」(Tommy Hansson)

こうしてNamelosersは短い活動期間を終えるのですが、その残されたマテリアルは後年非常に高く評価され、現在でも新たなファンを増やしています。










Namelosersは、基本的にはStones・Yardbirdsあたりに近い感じのR&B系ですが、ほのかにR&Rのフレーバーを感じさせる所に初期のBeatlesからの影響が感じられます。
ナスティで生意気なボーカルと、メリハリのあるアタックの強いガリガリとしたギターをフューチャー荒々しいサウンドは本当にかっこよくて、当時のステージでも熱狂の渦に巻き込んでいたのではと思われます。
ガレージ的に言えば割と「速い」演奏にあたると思うんですが、高速移動してるけど周りは田園風景でゆったり移動しているように感じるのに近い、感覚のずれのようなものを持ち合わせた速さという感じでしょうか(笑
素朴な田園風景が拡がるスコーネ地方出身らしい…と言ってはおかしいかな(笑
65年末から導入したファズを使用した曲がことごとく凶暴なこともあって、ガレージ・フリークビートファンには非常に人気の高いグループですが、60年代ロックが好きな方には是非聴いていただきたい、そんな魅力を持ったグループです。

僕は基本オリジナル曲に関心があるので、カバー曲がほとんどのグループには厳しいのですが、Namelosersだけは別腹として捉えています。
これだけ気持ちを高揚させるグループはそうはいませんからね。

彼らは、Beachers時代も含めてEP2枚(同内容)・シングル3枚・雑誌の付録のフレクシ1枚(1曲)を残しています。

Beachers(EPのみ)

1.New Orleans
2.Bama Lama Bama Loo
3.What'd I Say
4.Around And Around (Viking VREP 204)`64 EP

Unreleased Tracks
5.You Can't Do That
6.Money

Namelosers
1~4の再リリース(Columbia SEGS 133)`65 EP
1/3 (DS2255)`65
7.The Dog
8.But I'm So Blue (DS 2261)`65
9.Land Of 1000 Dances
10.Susie Q (DS 2282)`65

11.Do-Ao (Bildjournalen Flexi SHQL-681-1 )`66

Unreleased Tracks
12.Walkin' The Dog `65
13.Hoochie Coochie Man `65 live
14.I Don't Mind `66
15.That's Allright `66

活動期間が短いので残されたレコードは少ないですが、幸いな事にEP・シングル収録候補としてレコーディングされた曲も残されており、シングル数枚のみのグループとしてはマテリアルが多いほうかも知れませんね。
1~8と12はBeachers時代からのオリジナルラインナップ、9・10・13~15は4人編成になってからの、そして11は最終ラインナップのTommy・Johnny・Christer、そして新加入のPer Alm(Ds)の4人での録音です。

1曲ごとに解説する必要がないくらいどれもいいのですが、とりあえずいつもどおり簡単に。
1~4は64年にVikingからリリースされたEP収録曲で、Namelosers名義になってから65年にColumbiaから再リリースされ、さらに1・3がシングルカットされています。
まだR&BというよりR&Rっぽい演奏で、ギターのフレージングは特にその傾向が顕著です。
どれも数多くカバーされている曲ですが、どれも彼ららしいフィーリングがあり、特にナスティな2と畳み掛けるようなアレンジの3がかっこいいです。

5・6はこのEPのセッションでレコーディングされたもので、わりとストレートなBeatles的アレンジだったので外されたのかな。
でも、けっこう彼らにあったチョイスだと思います。

7&8はNamelosers名義になってからの初録音で、65年4月にリリースされた2ndシングル。
7は2を更にナスティにしたような感じで、Johnnyのサイドギターの切れ味が増しており、触ったらスパッといきそうです。
8は彼ら初のオリジナル曲で、かのガレージ編集盤「Searchin' In The Wilderness」にも収録されているので、彼らの曲の中ではよく知られている方だと思います。
何と言いますか、クレイジーとしか言いようのない荒々しさです(笑
このカップリングは素晴らしいと思うのですが、これでも売れないとは厳しいですね。
12はこのシングルのセッションでレコーディングされた曲で、とにかく「犬」の歌がよかったのか(笑)は定かではありませんが、どちらも彼らにピッタリのチョイスだと思います。
こちらもさすがの悪辣ぶりですが、どちらがいいかと言われれば、やはり凶悪な7に軍配が上がるでしょうね。

9&10は、4人編成の新ラインナップで65年12月にリリースされた3rdシングル。
僕は正直「Land Of 1000 Dances」って単調であんまり好きな曲ではないのですが、このNamelosersバージョンだけは別。
原曲の軽快さはどこへやら、悪声ハーモニーに凶悪なファズギターに、ブリブリベースにドカドカドラム…、重戦車でダンスしてるのかのような最もヘヴィで凶悪なバージョン。
10もファズ&重い演奏でのしかかってくるような演奏で、これを聴くとQ65を思い出してしまいます。
そう言えば、NamelosersとQ65って、負け犬的なかっこよさという意味で相通じるものがあるように思います。
どちらも負け戦決定でもやけくそで突っ込んで行くような、無鉄砲な感じがたまんないですよねえ。
余談ですが、このシングルリリース時、タイトルを「Night Of 1000 Dances」と誤ったタイトルでリリースしてしまい、後に正しいタイトルに直してリリースされているのですが、こういうミスもレコードの売り上げに悪影響を及ぼしたんじゃないかなと思います。
回収したのか売り切って2ndプレスで差し替えたのかは不明ですが、スウェーデンのような小さいマーケットではどちらでも厳しいですね。

13は、9&10がリリースされた時期のライヴ音源で、こういうのを聴くとまだあるんじゃないのかと思ってしまいますよね。
これまたファズバリバリのヘヴィな演奏で、こういう演奏で客が荒くれるのをプロモーターが嫌がって、ソフトにさせようとしたんだろうなって。
65年でこんなヘヴィな演奏をしてたグループは、イギリスでもまだほとんどいなかったし、ちょっと早すぎたのかも知れませんね。

14&15は66年4月のレコーディングで、結果的に未発表になってしまいましたが、4thシングルとしてリリースする予定だったのかも知れません。
Whoバージョンを参考にしてカバーした14は、なぜかファズを使用していない上に彼らとしては比較的クレバーな演奏で、これをA面にしてごまかしてB面の凶悪さを隠そうとしたのかも知れません(笑
そのB面にすえるつもりだったと推測されるのが15なわけですが、こんなのごまかせるわけないじゃん(笑
もはや原曲がさっぱりわからなくなってしまうくらい暴れ狂ってるし、全く反省の色が見られません(笑
だがそこがいいvvvv
エンディングでJohnnyのギターが切り込んでくるところは、いつ聴いても血中温度が上がってしまう。
Johnny Anderssonは僕の大好きなギタリスト一人です。

11は雑誌Bildjournalenの付録のFlexiディスクに収録された曲で、最終ラインナップで収録された彼らのラストレコーディングです。
JohnnyとTommyの共作で、8と共に数少ないオリジナル曲の一つ。
最後だから好きにやらせろと言わんばかりに、うねりあげて咆哮するファズのたたみかける演奏、最高に荒れ狂ってます(笑

そう言えば、この付録のFlexiに収録された曲ってどれも2分弱なんですが、やっぱり3~4グループを収録するために2分以内にまとめてくれって言われてたんだろうなあ。


以上15曲、これももはやよく知られているCDなので紹介するまでもないのですが、これに全て収録されています。

息の長いCDです

Fabulous Sounds From Southern Sweden (Got To Hurry GTH CD 103)`89

けっこう昔にリリースされたCDですが、まだわりと入手はできるみたいです。
一時は超入手困難だったんですが、思い出したように再プレスしてるのかも知れません。
Got To Hurryっていうのは、ストックホルムのガムラスタンにある60'sメインの同名のレコ屋さんのレーベルで、だからこそ廃盤にならずに長い間販売され続けているんでしょうね。

基本これ1枚で全てが聴けますが、まだラジオ音源とかもあるみたいなので、更にリサーチして新規格盤をリリースしてくれると嬉しいですね。
ジャケもあの微妙な絵じゃなくて写真にして欲しいな(笑

マニアの渇き、潤されることなし(笑



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