あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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最も有名な写真です
Olympic 1968:(L to R)Pavel・Miroslav・Jan・Ladislav・Petr


09.7.17:その後に分かったことも加えて、ほとんど全部書き換えました(笑


東欧第1弾は、60年代の旧チェコスロバキアで最も人気があった、そして90年代に到る長きに渡って活動した大物グループOlympicです。

ある程度ロックを聴いてきた方、特にサイケ・プログレ方面が好きな方なら、この変なカメのジャケットをみたことがあるんじゃないかと思います。

Petr Janda(Vo/Lead G)と中心にプラハで62年に結成、当初はKarkulkaと名乗っていたそうですが63年にOlympicと変更。
63年当時は基本編成にサックスなどを含めた7人編成で、65年までは複数のポップ・シンガーのバック、いわゆる「○○とOlympic」名義でのシングルをレコーディングを務めていたようで、単独名義ではインストものを数曲残しています。
また、64~65年の間に東ドイツAmigaでも数曲レコーディングしており、Amiga録音を含むこの時期の音源は本国のBontonから出てた「Singly 1(64-65)&2(65-69)」で聴くことができますが、廃盤で現在は入手困難です。
バックバンド時代の音源はメンバーがボーカルをとっていないし、サウンドもかなりオールディーズ的なので一般的なOlympicのイメージで聴くとかなーり厳しいです(笑

65年から本格的にグループ単体で活動開始。
この段階で在籍した結成時からのオリジナルメンバーPetr Janda・Miroslav Berka(Key)・Pavel Chrastina(B,Vo)・František Ringo Čech(Ds,Vo)のうち、単独名義での1stシングルリリース後にFrantišekが脱退、バックバンド時代から時々代理を務めていたJan Antonín Pacákと、(おそらく)Petrの弟Ladislav Klein(G,Vo)が加入。
69年までの特別な時代を通して、この5人で活動していきます。

65~69年のラインナップ

イケメンが3人もいたので、音楽自体だけでなくアイドル的人気も高かったみたいです(笑

Petr(作曲)&Pavel(作詞)を中心にしたオリジナル指向になり、そういう意味でも65年からが「Olympic」としてのスタートと言えますね。
シングルをリリースするごとに楽曲・演奏共に良くなっていき、67年のロック・レヴォリューションの波を受け、徐々にサイケデリックな要素も取り込んで行きました。
67年にはチェコスロバキア初のロック・フェスティヴァル「1st Czechoslovak Beat Festival」に出演、サイケ&フリークビート的なイキのいい演奏を見せています。

そして68年、所属レーベルSupraphonから待望の1stアルバム「Želva」がリリースされました。





何でカメなんでしょうね(笑

Želva -zlata edice- (チェコSupraphon SU5534-2)‘04年

「Želva」は何度か再発されているみたいですが、このCDは04年にリリースされた、スリップケースつき&65年~67年のシングルをボーナスで追加したリマスター盤です。
「zlata edice」とは「Gold Edition」のことで、ディスク裏面が金色になっているのでたぶんゴールドCDなんだと思います。
東欧盤はレコード時代は盤質・ジャケット・音質があまり良くなかったそうですが、このCDはオリジナルマスターが国営レーベルで厳重に管理されていたせいもあってか抜群に音が良くて、下手な西欧ものよりもはるかにいいです。
90年代に出たBontonのリマスターCDよりもかなり音圧がありますし、ただの金色のCDではないと思います(笑

当時はステレオ&モノの両方がリリースされていますが、このCDはステレオバージョンです。
正直モノのほうが良かったんですが、60年代ものにありがちな左右に極端に振り分けた、僕が言うところの「Rubber Soul」ステレオではなく、丁寧に配置された非常に聴きやすいミックスがなされていますので割りと気に入っています。
当時から、西欧に引けをとらないマスタリング技術を持っていたんですね。

68年リリース、そして訳の分からないカメのジャケット(笑)から察すると、怪しげなサイケか?なんて思ってしまいそうですが、どちらかと言うとフリークビート的な疾走感が強いので、その筋の方は特に楽しめると思います。
もちろん、サイケな要素もあちこちに感じられます。
歌詞はほとんどがチェコ語で、ちょっと巻き舌な歌いまわしがある意味パンクです(笑
最初は違和感があると思いますが、慣れるとフランス語などよりもロックとの相性もいいです。
バリバリのファズと、バタバタしたリズムセクション、そして独特の歌いまわしのチェコ語詞…、かなりカラフルな印象ですが頭にイメージされるのはモノクロの場面。
Olympicに限ったことではありませんが、68年前後のチェコスロバキアのグループのサウンドは、カラフルでありながらどこか重く暗い。
この背反した要素の重なり合いこそが、チェコスロバキアのグループのサウンドの魅力だと思います。

a24.jpg

1~12がアルバム本編、13~19がボーナストラックです。
Miroslavの突っ走るハーモニカとPetrの轟音ファズがうなる、ポップでありながら疾走感のあるフリークR&Bの1からいきなりカッコよくて引き込まれます。
個人的にはOlympic=Želvaと言い切ってしまえるほどお気に入りの曲です。
ちなみに「Želva」とはチェコ語で海ガメのことで、非常に歌詞の内容が気になります(笑
この1や、7・9・11のようなビート感の強い曲の狭間に、東欧のパブ?のような空気を感じさせるアコーディオンのアレンジが楽しいワルツの3、本国では非常に人気のあったメランコリックなバラード8などが織り込んであり、アルバムとしてのまとまりもかなりいいと思います。
強烈に印象的なのが、このアルバム中最もサイケでフリーキーなラストを締める12。
「Psychiatrický Prášek」とは、直訳すると「精神科の粉末」という意味で、ま、要するにドラッグのことなんでしょうね。
6分強の比較的長めの曲で、やや翳りのあるトーンの主メロを挟んでヘンなコーラスやしゃべり声などがコラージュされたフリーキーなパートがあるのですが、これは抑圧された国民をイメージしているのでしょうか?
そう感じるのは、このパートから主メロに戻るつなぎに、揶揄するかのように妙に乾いたトーンでロシア民謡のフレーズが入って、そこからぐんぐん温度が上昇していく展開があるからです。
プラハの春に向けて自由化への希望が盛り上がりつつあった67年にはすでに演奏されていたこの曲、ソ連の干渉から離れたいというメッセージを感じますね。
アルバムのラストに配置したのも、「そういう」意図を感じます。
当時のチェコスロバキアが割りと自由な雰囲気だったとは言え、このような過激な曲を公衆の面前でおおっぴらに演奏するのは結構勇気が必要だったのではないでしょうか?
それだけ、彼らにとってこの曲を演奏して見せることに意義があったんだろうなと。
プラハの春の顛末を考えると、今までよく音源が抹消されなかったなと思います。

68年のプラハ空気を生々しく感じさせる、今となってはドキュメント的な価値もある素晴らしいアルバムです。

かなりマニア向けなネタですが、このアルバムの収録曲には別バージョン&ミックスが多く、2のシングルバージョンは全くの別録音、8は英語詞バージョンが存在、3・6・7はなんと65年にレコーディングされた初期バージョンがあり、そういう意味でもたまらないものがあります(笑
いつかモノバージョンも聴いてみたいですね。
別ミックスが期待できそうです。

13~19のボートラのシングル曲は、のちにミックスされたと思われるステレオミックスです。
初期の曲はかなり素朴な印象ですが、67年のシングル15・18は作曲のセンスや個性も進化していてアルバム自体のイメージに近い感じです。
世界的にも、65~67年の間の音楽・機材・製作テクニックの急激な変化がありましたが、65年のマージー的な13と67年のポップなフリークビート18との間の2年間の進化の過程を想像するのも楽しいものがあります。

最後に一度見たら忘れられないアルバムジャケットについて。
このコンセプトが良くわからないカメのジャケットデザインは、ドラマーのJan Antonín Pacákによるもので、彼は3rdアルバムまでのデザイン全てを手がけています。
Janはプラハ芸術アカデミーで陶芸を学んでいたそうで、71年に画家になるためにグループを脱退、後にチェコでは有名な画家になっています。
ドラムスだけでなくフルートなどのさまざまな楽器をプレイし、67年には口ひげを蓄えていた多才で芸術家肌のJanは、グループのコンセプトメーカーだったのではと思います。
残念ながら、07年の3月に白血病で亡くなったそうです。


「Želva」収録曲の中で、1と8と12がYouTubeで見ることが出来ます。
1と12は67年にプラハで行われた「1st Czechoslovak Beat Festival」での生演奏で、当時のプラハの熱気を垣間見ることが出来る素晴らしい映像です。
8は当時のTV番組の収録もののようです。

Beat Music Festivalのポスター

キーボードのMiroslav(グラサン男)がタンバリンを鳴らしながらウロチョロするのがちょっとわずらわしい(笑)ですが、ソロでハーモニカを吹き始めるとこれがかっこいいのなんのって!!
でもタンバリンに戻るとやっぱりわずらわしいのです(笑
あと、12でドラムのJanが中間のブレイクでリコーダーのソロをやるのですが、よく見るとハイハットが上下してる・・・、すごいリズム感だ(笑
日本人の僕に難解なチェコ語詞を聞き取るのは厳しいのではがゆいのですが、この曲を演奏している時の観客の熱気はかなりのもので、いつか歌詞の意味が分かるといいなと思います。

サイケな衣装や、本国製と思われる実にビザールなギターなんかも見所の一つです。

「Olympic 1967」で検索したら出ます。
よかったら見てみてください♪



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コメント

すごく詳しい記事ですね。なかなかこんな記事は書けませんよ。文章力のない私には到底無理ッスね(汗)。
しかしかなり東欧ブームが来てますねぇ。このまま突っ走って下さい。応援してま~す♪

  • 2009/07/21(火) 11:06:17 |
  • URL |
  • おいどん #mMgziZAk
  • [編集]

おいどんさん、おいでませ♪
グーグル翻訳のおかげで、だいぶ情報を仕入れることができました。
僕は自分自身の備志録として、あとこれから聴いてみたい方のかつての「レココレ」的な情報源になればという感じで書いています。

おいどんさんは自分の半生で聴いたものの記録ということですから、あの書き方でいいんじゃないかと思います。
別に文章が下手だとは思いませんしね。

ま、ぶっちゃけお互い素人ですし、それぞれが楽しければいいのではと思います。

Ptak~も近日中にうpしますので、よかったら見に来てやってくださいませ♪

  • 2009/07/21(火) 16:27:38 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]
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  • Author: Graham
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