あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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今回は、エストニアのビート/サイケのコンピレーション2種を紹介します。

1944年~1991年の間、エストニアはソ連の共和国として強引に取り込まれていました。
つまり、基本的には国家公認のグループであるVIA以外は、レコーディングしてレコードをリリースしたり、利益を得るライヴの開催を禁止されていたわけです。
それに、ソ連のロック史本「ゴルバチョフはロックが好き?」や東欧共産圏のロック史本「自由・平等・ロック」によれば、当時のソ連内の若者は高価なオープンリールテープを、西側のロックのレコードをコピーするために使い、自分たちで結成したグループの演奏を録音して保存するという概念がなかったため、当時のロックの録音はほぼ皆無だとありました。

僕自身、これらを読んでそういうものだと思い込んでいたのですが、去年の冬に友人がDiscogsでウォントに入れていたアイテムの中に、エストニアのコンピレーションを発見しました。
たぶんVIAの音源をまとめたものだろうと思っていたのですが、収録曲をつべでチェックしてみると、VIAよりも遥かに西側に近い演奏で、しかもオープンリールのプライベート録音にしてはやけに音質が良い。

Мелодия録音ではない、当時ソ連内の国の60~70年代のコンピレーション…。
ここ数年でも最高の驚きでした。

すかさずエストニアから引っ張って、聴きながら詳細を調べて行くと、エストニアでは他のソ連構成共和国とはかなり状況が違っていました。

まず、音質がわりと良いのは、エストニアのTV・ラジオ局のスタジオでレコーディングされていたからでした。
レコード・デビューしていない非公認のグループの楽曲をこういう形で録音するというのは、基本的にはソ連内ではほとんど認められておらず、エストニアでのこれらの録音には本当に驚かされてしまいました。
東欧諸国では、レコード・デビューの試金石のような形で、未契約のグループの録音をして放送することはあったようなので、それに近い形だったのだと思いますが、それにしても当時のソ連での状況を考えると、大胆だなあと思ってしまいます。

ただ、多少当局の琴線に触れないように気を配っていたようで、特に71年くらいまではヘヴィで荒削りな演奏を録らないようにしており、あんまり荒っぽい楽曲は残されていません。

また、プライベートでも自分たちのグループの録音のデモを残していたりするのも、他のソ連内では少なくとも60年代にはほとんどなかったことでした。

あと、利益を得るライヴもほとんど黙認されていたようで、68年にはタリンで初のロック・フェスがおおっぴらに開催されてまでいます。
他のソ連内でも、役人に袖の下を渡してライヴをやっていたグループはいたようですが、調べた範囲ではエストニアではそういうことも基本的にはなかったようです。

エストニアでは、ソ連に侵略されて取り込まれたことに対する反抗心が根強かったそうですから、こういうことにもそれが現れたのかも知れません。

しかし、前述のタリンのフェスの後くらいから、当局が口を出すようになったようで、VirmalisedVäntorelのように、意に沿わないグループは活動を制限されたりするようになりました。
おそらく、66年にラトヴィアのリガで、Melody Makersのライヴを中止したことによる騒ぎが起きたことで、当局がエストニアの状況にも目を向けるようになったのではと思われます。

それでも、放送局での録音が後年まで(少なくとも76年くらいまで)続けられたようで、ソ連内だということを考えると驚くほどの多くの録音が残されています。
76年以後から、国家公認になってライヴを行い、Мелодияでレコードをリリースするグループが増えているので、その時期に何かの動きがあったのかなと思います。

エストニアのロックは、ビート感よりもメロディの美しいポップな曲が多く、対岸にあるフィンランドの放送を試聴して、レパートリーを見繕っていた関係もあるのか、北欧のシーンに近い印象があります。






そんなエストニアのロック・シーンを辿ることのできるコンピレーションを紹介したいと思います。

a2162.jpg

V.A./Eesti Rocki Lapsepõlv 1966-1976

(エストニアHitivabrik HFCD156)`14 [3CD]

Disc1
1.Sa Võisid Olla Päris Kena Tüdruk /Kristallid `66
2.Ära Süüdista Saatust /Kogudus `72
3.Üks Imelik Masin /Mikronid `69
4.La La La Laul /Optimistid `69
5.Maailm Ilma Armastuseta /Rütmikud `69
6.Närvid Läbi /Omega `67
7.Langeb Lund /Andromeeda `70
8.Ootan Kevadet /Lüürikud `72
9.Jalgrattal Sõidan /Toomapojad `71
10.Ühel Varajasel Hommikul /Toonika `71
11.Väike Sõbratar /Fix `68
12.Elektrirongiga Tallinnast Pääskülla /Real `70
13.Palgasõduri Laul /Peoleo `69
14.Vaikuse Laul /Virmalised `75
15.Su Silmade Sära /Toonika `71
16.Üksinda /Fix `69
17.Teel Koju /Lüürikud `72
18.Buona Buona Notte /Rütmikud `67
19.Minu Vanem Vend /Andromeeda `70
20.Ülle /Optimistid `69
21.Sõnad /Omega `68

Disc2
1.Sulle Nüüd /Virmalised `75
2.Mul On Tunne /Optimistid `67
3.Sädelev tüdruk /Kogudus `74
4.Tule /Toonika `71
5.Kiikhobu /Omega `67
6.Vana Auto /Peoleo `67
7.Sa Soovi Mulle Head /Lüürikud `72
8.Sulle /Mikronid `69
9.Suve Hääl /Virmalised `73
10.Sain Laulu Kokku Seada /Kristallid `66
11.Puhates Pead /Kogudus `72
12.Kevadhommik /Toomapojad `70
13.Lahkumise Tund /Lüürikud `72
14.Tuul Käib Tühjal Rannal Ringi /Andromeeda `72
15.Olen Saatusega Nõus /Peoleo `71
16.Sa Teed Kõik Uueks /Omega `67
17.Sügis /Mikronid `69
18.Väike Salasoov /Toomapojad `73
19.Suhkrust Saab Õnne /Andromeeda `73
20.Šlaager /Suuk `76

Disc3
1.Rukkilõikus /Ruja `72
2.Rahatuvi /Ornament `73
3.Põlevas Paadis /Polyphon `76
4.Hetki Neid /Virmalised `73
5.Kollaste Lillede Org /Väntorel `71
6.Nuhtlemine /Suuk `76
7.Helgiheitja /Meie `73
8.Teravik On Suunatud Alla /Teravik `75
9.Edasijõudnud Inime /Noor Eesti `76
10.Inimesed Vaatavad Merele /Väntorel `71
11.Unelmad Ja Tegelikkus /Meie `73
12.Zeppelini Triumf /Ruja `72
13.Mõtted /Polyphon `76
14.Statistiline /Suuk `76
15.Pilved Kuuvalgel /Ornament `73
16.Sa Tulid Tuppa /Väntorel `71
17.Lumi Sädeles /Ruja `76
18.Ma Pesen Oma Hambaid Verega /Kooma `70(Live)

14年の冬にリリースされた、3枚組のエストニアン・ロック・アンソロジー。
Disc1と2は基本ビート/サイケ、3はアート/ハード/プログレ寄りの内容になっており、正直ハード/プログレの好きな方には少々物足りないかも知れませんが、ビート/サイケファンにはおすすめのコンピです。
おおよそ、それぞれのグループの代表的な曲が収録されていますが、中には蔵出しのようなトラックも含まれており、入門用としてもマニア用としても満足できる内容だと思います。

残念なのは、基本国内向けを意識しているせいか、ライナーがペラペラで各グループについての紹介なども全くないことで、ここから手を広げるのにどれだけ苦労したかわかりません(笑
また、ライナーはペラペラですが、ケースは旧態然としたぶっとい2枚組用プラケだったりします(笑
エストニアでは、まだ2枚組用ケースは基本この太いやつみたいです。


このコンピに収録されてない曲が、以下のコンピで聴くことができます。

a2163.jpg

V.A./Eesti 60ndad(エストニアHitivabrik HFCD070)`02 [2CD]

Disc2(上記の3CDに収録されていない曲のみを抽出)
1.Sa kuulud mulle /Optimistid
5.Millal suudan ma /Virmalised
6.Lady Madonna /Jaak Joala
12.Diversant /Raki
13.Kullast süda /Toomapojad
14.Naer /Virmalised
16.Traavivõistlusel /Peoleo
21.Romeo ja Julia /Laine
22.Vallatu kutsikas /Toomapojad
25.Tants kestab veel /Merle Ambre

2枚組ですが、Disc1はポップシンガーのみの収録なので割愛しました。
Disc2も前述の3CDとの被りが多いので、被っていない曲だけをピックアップしました。
これだけの曲目当てに、この2CDをおすすめしたいとは言いがたいですが、エストニアのシーンを探求してみたい方なら、ゲットする価値はあると思います。
なお、こちらのコンピはハード・プログレが好きな方には必要がないと思います。

また、Virmalisedの記事で述べましたが、オリジナルの「Tund Aega"Virmalistega"(C-002の方)」を入手できない場合に、リミックスされていない「Naer」を聴くための代用品にもなります。

02年のリリースとけっこう前のコンピですが、まだ新品がある(17年2月現在)みたいです(笑

また、昔のリリースのせいか、上記の3CDと同じくライナーはペラペラで解説なしで、さらに録音年の記載もない不親切さで、いまだに泣かされています(笑
おまけに3CD同様、ぶっといケースです(笑


次回は、エストニアのコンピについての第2弾で、今回のよりマニア向けのコンピ2種を紹介します。




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