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あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 


New Juggler Sound late 60's
L to R: Saúl・Alex・Alberto・Eddy・Manuel

1年半ぐらい放置していましたが、久々に更新します。
その久々の更新は、Traffic Soundと並んでペルーの伝説的なグループLaghoniaを取り上げます。

注:Laghoniaは、リリース年などのデータが、資料によって1年前後のずれが多いため、いつも以上に吟味してまとめましたが、不正確な部分がありますので「大体この頃」くらいに捉えていただけたらと思います。


Laghoniaは、Saúl(G.Key.Vo)とManuel(Ds)のCornejo兄弟とEddy Zarauz(B)の3人を中心に、Alberto Miller(G.Cho)とLos Jaguar'sのメンバーだったAlex Abad(Per.Cho)を加えた5人編成で、65年にリマで結成されたNew Juggler Soundが原点になります。

ちなみに、Eddy Zarauzはベースを自分で製作して、70年に脱退するまで愛用していました。1PU仕様で、尖ったマシンヘッドに、バイオリンベースを変形させたようなボディを持ち、偶数フレットインレイにボディ背面側のバインディング、表面の8割くらいを覆った変形ピックガード、ボリュームノブよりもボディ中心に寄ったジャックの位置など、なかなかの出来栄えかつ個性的なシルエットで、当時結構インパクトがあったのではと思います。

a3021.jpg
Eddy's hand-maid bass

結成当初は、Beatles・Rolling Stones・Kinks・Yardbirdsなどのイギリスのグループのカバーを演奏していましたが、徐々に自分たちのオリジナル曲を手がけて演奏するようになります。

67年には、美術展で演奏する機会を得て、新聞の三面記事に「ヒッピー、リマを侵略」などと書かれたりして徐々に注目されるようになり、TVやラジオ番組に出演するようになりました。
そして68年6月、RCA Victorからシングルデビューを果たしました。

この頃には、100曲ものオリジナル曲を書きためていたそうです。

2ndシングルのリリース直後に、Albertoが脱退。
代わりに、Eddyは公園を散歩中に知り合った、アメリカ人の16歳の少年David Levene(G.Vo)が加入。
Eddyは公園のベンチに座ってギターを弾いているのを見かけ、そのR&Bフレーバーあふれるファンキーなプレイを気に入って、グループに誘ったのだそうです。

Davidの加入によって、彼らのサウンドは大きく変化し、ポップで時々メランコリックな既存の要素に、サイケデリックでファンキーな要素が加わったサウンドが、彼らの持ち味になって行きました。

同年、彼らを気に入ったMagレーベルに移籍、シングル2枚とEP1枚を立て続けにリリースして、グループを強力に売り込みました。
そして、この3枚のレコードをリリースした後に、Laghoniaをいうグループ名に変更しました。
グループ名の由来は、当時Beatlesが解散間近だと言われていた時期で、
Beatlesに多大な影響を受けていた彼らが、そのことに悲嘆したことがきっかけだそうで、スペイン語での「悲嘆」の「La agonia」をもじってLaghoniaとなったそうです。

そして、グループ名を変えたのと同じ時期に、新たにCarlos Salom(Key)を加入させました。
Carlosはジャズとブラジル音楽に詳しく、作曲にも積極的に関わって、彼らのサウンド志向の変化にも貢献して行くことになります。
また彼は、当時のペルーでは輸入されていなかったHamond B-2オルガンを所有しており、彼の加入によってLaghoniaは、ペルーを含めたラテンアメリカで最初に、レコーディングでHamondを使用したグループの一つとなりました。

当時のラテンアメリカ諸国は裕福ではなかったため、Hamondより安価なFarfisaのオルガンが主に使用されており、Hamondに対して一種の憧れはあったんじゃないかと思います。
ま、個人的にはFarfisaのチープな音色の方が、南米のサウンドに似合うと思いますけどね。

70年、この6人編成のラインナップで新たに録音した2曲と、既存のシングルとEPの音源をまとめた、待望の1stアルバム「Glue」をリリース。
売上自体は思わしくなかったようですが、彼らのサウンドは高く評価されました。

(②に続く)





New Juggler Sound/Laghoniaは、67~71年の間にシングル5枚・EP1枚・LP2枚をリリースしており、ここでは1st「Glue」リリースまでの楽曲・収録CDを紹介します。

*クレジットのないものは全てS.Cornejo-M.Cornejo作。

Singles

1.Baby Baby[S.Cornejo-A.Miller]
2.I Must Go[S.Cornejo-A.Miller] (RCA Victor RCA 85-848)`68
3.Sonrisa De Cristal[S.Cornejo-A.Miller]
4.Las Mil Millas Del Amor[S.Cornejo-A.Miller](FTA ‎FTA-50389)`68
5.Billy Morsa
6.Glue  (Mag‎ 2968)`69
7.And I Saw Her Walking[S.Cornejo-M.Cornejo-D.Levene]
8.Trouble Child(MAG 3083)`69

EP

9.El Hombre De Arena(The Sand Man)
[D.Levene-S.Cornejo-M.Cornejo]*long ver
10.Bahia (MAG 10032)`69

上記のシングル・EPは、全てNew Juggler Sound名義でのリリースです。
1・2はデビューシングルで、同時期の中南米のグループのゆるめの楽曲・演奏と比べると、なかなかシャープな出来栄えではあるものの、まだサイケデリアの影響はほとんどなく、ソフトなビートポップです。
3・4も同系統のソフトなビートポップで、基本英語で歌っている彼らとしては珍しいスペイン語詞の楽曲です。
当時のペルーでは、ほとんどのグループがスペイン語で歌っていたので、レーベルからの要望があったんじゃないかなと思います。
ちなみに、FTAはRCA Victorの傘下レーベルです。

以後は全てMagレーベルからのリリースで、David Leveneが加入して今までとはサウンドが大きく変わって行きます。

5・6がMagからの最初のシングルで、両面ともにDavidのギターをフューチャーしたファンキーなサイケサウンドで、楽曲も演奏も大幅にレベルアップしています。
特にソリッドなビート・サイケの6は、後にアルバムタイトルとして採用されるだけある素晴らしい出来栄えです。
7・8が次のシングルで、7はDavidの好みがもろに出たアトランティック・ソウルっぽい曲で、ヴォーカルも彼自身。
5と7では、Manuel Cornejoがヴィブラフォンをプレイしており、これがまた良く効いています。
8はYardbirdsがTomorrowの曲を演奏したような感じで、これまた完成度が高いです。

次の9・10は、9が6分以上ある長い曲だったせいか、33回転のEPとしてリリースされています。
9は美しいメロディとDavidのブルージーなギターが交互に出てくる、彼らの楽曲の最高傑作の一つ。
後にアルバムに収録されたヴァージョンとはミックスが違い、サビにバッキングヴォーカルが重ねてあり、時間も倍ぐらい長くて陶酔感のある仕上がりになっています。
このEPヴァージョンは、アルバム「Glue」のリハーサルテイクが収録された編集盤「Unglue」に収録されています。
10は5と同系統のファンキーな・サイケ。

Album

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Glue (MAG LPN-2403)`70 (ドイツ World In Sound WIS 1022)CD `04

Side A
11.Neighbor[S.Cornejo-M.Cornejo-D.Levene]
12.The Sand Man[D.Levene-S.Cornejo-M.Cornejo] *short ver
・Billy Morsa
・Trouble Child

Side B
13.My Love
・And I Saw Her Walking[S.Cornejo-M.Cornejo-D.Levene]
・Glue
・Bahia

Laghoniaと改名後、Carlos Salomが加入して6人編成になってから録音した2曲と、シングル・EP音源6曲を加えて制作された1stアルバム。
まだMagレーベルのディスコグラフィが完璧に把握されていないので、資料によって69~71年と、リリース年にかなり幅がありますが、他のシングルや同時期の他のグループのリリースなどと照らし合わせて吟味してみて、僕は70年のうちにリリースされたんじゃないかと思います。
さらに一部の資料には、このアルバムの制作時に既発の6曲を再録音したという記述がありますが、Hamondの音は入っていないし演奏もミックスも同じだし、当時のペルーで新人グループのアルバム制作に、そこまで予算をかけるとは考えにくいので、再録音はされておらず、シングル用マスターをステレオ化して収録しただけだと思います。
ただ、前述のとおり「The Sand Man」は、EPヴァージョンからサビのバッキングヴォーカルを外し、最初のギターソロが終わるところでフェイドアウトさせたショートヴァージョンになっています。

アルバム用に録音された2曲の一つ11は、Davidの好みを全面に出した超ファンキーな楽曲で、後のラップにも相通じるリズムは強烈の一言で、ヴォーカルはもちろんDavid。
12はHamondのメロウなトーンと泣きのギターが織りなす荘厳なバラード。

まさにMagに移籍してからのキャリアを総括した、駄曲が一切ない素晴らしい内容で、ペルー・ロックの最重要名盤の一つです。

ちなみにアルバムジャケットは、Manuel Cornejoがデザインを手がけています。

このアルバムは、今までに数回リイシューされていますが、初期の2枚のシングル音源を追加した上記のリイシューCDが一番おすすめで、出し入れに気を遣うデジパックと、汚れやすいザラっとした紙質が難点ですが、比較的入手もしやすいと思います。
ボーナスのシングル音源は、盤起しで音質は落ちますが、アルバム音源は音質良好です。


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  • Author: Graham
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