あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ
Beatmen
Beatmen 1965


さて今回は、チェコスロバキアのミュージシャンで最もグループ運のない男(笑)、Dežo Ursinyの関わった2グループを紹介したいと思います。

スロバキア地方の州都プラチスラバで64年に結成されたBeatmenのリードギターが脱退し、Dežoが加入したところから始めます。
メンバーは上の画像左からPeter Petro(Ds.Vo)・Dežo(Vo.G)・Marián Bednár(B.Vo)・Miroslav Bedrik(G.Vo)の4人で、65年にSupraphonからシングル「Safely Arrived / The Enchanted Lie」でデビューし、瞬く間にスロバキアで最も人気のあるグループになったそうです。
彼らはまさにBeatles直系で、彼らのオリジナル曲はビートル・フレーバーをうまく取り込んでいて、65年当時のチェコスロバキアのグループの中でもずば抜けてシャープなサウンドでした。

66年、Manfred Mannのプラチスラバ公演で前座を務め、彼らの演奏を気に入ったManfredおじさんに、西ドイツ公演でも前座をやって欲しいと依頼され、彼らは西側で演奏した初めての東欧共産圏のグループとなりました。

しかし66年夏、Dežoの脱退によりBeatmenは解散。
詳しい経緯は良くわからないのですが、自国での解散後にDežo以外の3人(Peterはすぐに帰国)が西ドイツに渡り、新たなメンバーを入れてBeatmenを再編し、66年内にシングルをリリースしていることを考慮すると、西ドイツでの契約が決まり、活動拠点を移すことを考えていたものの、Dežoだけがそれを望まなかったため、やむなく一度解散して…と言ったところだと思われます。

西ドイツに渡ったMiroslavとMariánは、Juraj Eperjesi(G)とドイツ人のArno Biller(Ds)を加えた新ラインナップで活動を初めシングルをリリースしましたが、 売り上げは思わしくなかったようで、新天地に立ったと思いきやあっけなく解散してしまいました。
いくら自国で人気があったとは言え、シングル2枚しかリリースしていない共産圏のグループが、多くのグループがひしめき合っていたドイツのビート・シーンに飛び込むのは、やはり無謀だったのではないかと思います。

その少し後の67年の夏、Dežoは新グループを結成・・・、それがSoulmenでした。


Soulmen
Soulmen:Dežo Ursiny(上)・Vlado Mallý(下左)・Fedor Frešo(下右)


Soulmenは結成当初はDežo(Vo.G)・Fedor Frešo(B.Vo)・Dušan Hájek(Ds)の3人でしたが、すぐにDušanが脱退してPrúdyへ、そしてVlado Mallýに交代しています。
Soulmenは基本的にはBeatmen直系のストレートなサウンドでしたが、以前よりもR&B的要素が強まってビート感がグッと増しています。
また、当時ならではのサイケの影響も感じられます。

67年12月にプラハで開催されたチェコスロバキア初のロック・フェスティバル「1st Czechoslovak Beat Festival」に、Olympic・Rebelsらと共に出演し、のちにレコーディングされるオリジナル3曲とBeatlesの「She's Leaving Home」を演奏、 フェスティバルのベスト・グループに選ばれました。

Olympicの記事でも述べましたが、このフェスティバルは映像が残っていて、当時のプラハの熱気を感じさせる素晴らしいもので、何とか映像化して欲しいものです。

翌68年春、国内とハンガリーを回るツアーをこなした後、当時リリースされた唯一の作品であるEP用のレコーディング。
再びツアーの後、うんたん・・・いやPantonからEPをリリース。
さてこれからと思いきや、これまたあっけなく解散。
FedorとVladoはPrúdyに加入します。
メンバー間のいざこざが絶えなかったそうですが、EPの内容も良かっただけにもうちょっと何とか続けてアルバムをリリースできなかったのかと、非常に残念に思います。




そんなDežoの目まぐるしい60年代の足跡を追えるのがこのCDです。

このジャケじゃあわかりにくいよね

Dežo Ursiny / Pevniny a vrchy (スロバキアBonton 71 0654-2) `97

これはDežoのキャリアを追ったアンソロジーで、Beatmen・Soulmen、そしてNew Soulmenの公式音源+αを聴くことができる1枚です。
しかし、このジャケットではただでさえ日本では知られていないBeatmenとかSoulmenが収録されてることに気がつきにくいですよね(笑
たぶん、日本ではほとんど出回っていないと思います。
僕もたまたま偶然入手できただけで、全く知りませんでした。

上のジャケで彼がじっと見下ろしているのでやりにくいですが(笑)、ざっと紹介して行きます。

全20曲収録ですが、関連するのは12曲目までなので、その12曲目までを記載します。

1. Safely Arrived (M.Bedrik – Peter Petro)
2. The Enchanted Lie (Miroslav Bedrik, Marián Bednár – Peter Petro)
3. Break It (text – Peter Petro)
4. Let's Make A Summer (text Peter Petro)
5. Walkin' Home (text Peter Petro)
6. Hey, Mr. Jones (Miroslav Bedrik-Peter Petro)
7. Mám ju rád (She Loves You) (John Lennon, Paul McCartney/J. Lihosit)
8. Schôdzka (Miroslav Bedrik-Peter Petro)

9. Sample Of Happines (text Juraj Lihosit)
10. Wake Up (text Elena Ursinyová st.)
11. I Wish I Were (text Elena Ursinyová st.)
12. Baby Do Not Cry (text Elena Ursinyová st.)

(text~)とあるのは全てDežoの自作曲です。
ちなみに、Soulmen時代のクレジットにあるElena Ursinyová st.とあるのはなんとDežoの実母で、彼女は英語教師だったとか。

1~8がBeatmen時代(全て65年)で、1&2・3&4がシングル、5~8が未発表曲です。
Beatmen時代は、思いっきりBeatlesの影響が感じられますが、少し素朴な印象です。
ちょっとZombiesを混ぜたような感じでしょうか?
基本的にBeatlesフォロワーの域を出ていませんが、メランコリックで美しい4はお気に入りです。
未発表曲の4曲も似たような感じ(7はBeatlesのカバーだし)ですが、6だけが「Five Live」期のYardbirdsっぽい疾走感があるかっこいいR&Bビートで、Beatmen時代では一番スマートなできばえの曲だと思います。

9~12がSoulmen時代のEPからで、それまでと比べると明らかにR&Bの要素が強くなっていて、4曲とも素晴らしいできばえです。。
10などはブルース的な雰囲気で、ごく初期のCreamみたいです。
圧倒的にかっこいいのがグッと抑制をかけたフリークビートといった感じのクールな疾走感のある11で、シンプルかつパワフルな彼ら最高の曲です。
この曲をフェスティバルでやればよかったのになー。

Dežoは参加しなかったのでこのCDには収録されていませんが、Beatmenは西ドイツに移住後、2人のメンバーを加えて1枚シングルを残しています。

Stand Up And Go(J.Eperjesi/M.Bednár/M.Bedrik)
/As You Love Me(J.Eperjesi) (西ドイツIntersound GVES 13573) `66

2曲ともメンバーのオリジナルで、「Stand Up And Go」はシャープなギターソロが印象的なタイトルどおりの勢いのあるビートポップ、「As You Love Me」はサイケデリアの到来をほんのり感じさせるダークなバラードで、両曲ともさすがの完成度です。

今のところ、「Stand Up~」はアナログのオムニバスに収録されているみたいですが、2曲ともCD化はされていないようで、いずれまとまった形でリリースしてくれればなと願います。


とまあ、こんな感じなんですが、あと聴いてみたいのが先に述べたフェスティバルでのライヴ4曲・・・特に「She's Leaving Home」ですよね。
ようつべでチラッとだけ聴いたことがあるのでその思いが強かったんですが、昨日この記事を書くのに調べてたら、このライヴ音源4曲を収録したCDが存在する事を偶然知りました。


こっちは持ってません

Dežo Ursiny / Pevniny a vrchy 2(スロバキアBonton 495358-2) `00

こちらは俗に言うレアリティーズで、1枚目にスタジオ録音、2枚目にライヴ音源を配した2CDです。
これもほとんど日本には入ってきてないんじゃないかと思います。

1枚目にはBeatmenの未発表音源が2曲あります。
(同じく関連音源以外は割愛します)

Disc1
1.Keby Som Bol Nór (J.Lihosit / T.Janovic)
2.Mám Ju Rád (She Loves You) (John Lennon, Paul McCartney/J. Lihosit)

1は66年のTV映画のサントラ曲で、映画にもこの曲を演奏するシーンで出演しています。
いなたいサーフインストにボーカルをつけたような明るく軽い曲で、ちょっとBeatmenらしくない曲です。
2は先に紹介した「Pevniny a vrchy」に収録されているものの別バージョンで、ほとんど違いが分かりませんが、若干ボーカルハーモニーに違いを感じる程度です。


そして肝心のフェスティバル音源の収録されたDisc2。

1.Sample Of Happines
2.Baby Do Not Cry
3.I Have Found
4.She's Leaving Home

同フェスティバルでのOlympicの演奏もそうでしたが、67年のプラハの熱気が伝わってくる素晴らしい演奏を聴くことができます。
このステージでのハイライトは3・4で、3はのちにNew Soulmen・Provisoriumでレコーディングされたバージョンのようなプログレッシブなスタイルではなく、シンプルな3人編成でのシャープかつ粗さのあるフリークビート的な演奏で、僕はこのライヴバージョンがお気に入りです。
そして4はオリジナルのBeatlesのバージョンとは趣の違う、か細いエレキギターでメロディが奏でられる、ややもすると千切れてしまいそうなはかなさが鳥肌もので、まさに歴史的資産と言える演奏です。

自由化へ向けての熱気が高まっていたチェコスロバキアの人々は、この分かり合えない両親から離れていく娘についての歌をどんな思いで聴いていたのでしょうか?



このページのトップへ

コメント

再開されたようで楽しく読んでいます。なんかライヴ盤がでてるみたいですね。もしすでに聴かれているようでしたら是非ご感想お願いいたします。
www.indiesrec.cz/umelci/792/beatmen

  • 2017/03/15(水) 23:22:47 |
  • URL |
  • さしだ #hfCY9RgE
  • [編集]

さしださん、お久しぶりです。
結構気が乗らないと、ぽっかり空白ができてしまいます(笑
BeatmenのLive盤、すでにゲットしています。
音質は当時なりですが、おすすめです。
500枚限定プレスのようですので、お早めにゲットされることをおすすめします。

  • 2017/03/18(土) 00:02:49 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]

あ、さしださん、そういえば、前に本の購入のお礼のメールをしたら帰ってきてしまって、急に返信できなくなってしまいました。
お時間のある時で構いませんので、一度送っていただけますでしょうか?

  • 2017/03/18(土) 00:05:29 |
  • URL |
  • Graham #rB4BsSMs
  • [編集]
このページのトップへ

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

このページのトップへ

FC2Ad

Information

Graham
  • Author: Graham
  • 日本語での情報の少ない、60年代の東欧・北欧・中近東などのBeat/Psychを中心に紹介しています。
    翻訳・編集に時間がかかるので更新は激烈にスローです(笑
    この自画像は、漫画友達の「ゆったりの間」管理人さん冬灯紗沙さんに描いて頂いたもので、さり気に対になっていたりします。

    コメント記入時、ホムペ・ブログなどのアドレスを記入すると投稿できないようにしてありますのでご注意下さい。

Search

Calendar

08月 « 2017年09月 » 10月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

 

プロフィール

Graham

Author:Graham
日本語での情報の少ない、60年代の東欧・北欧・中近東などのBeat/Psychを中心に紹介しています。
翻訳・編集に時間がかかるので更新は激烈にスローです(笑
この自画像は、漫画友達の「ゆったりの間」管理人さん冬灯紗沙さんに描いて頂いたもので、さり気に対になっていたりします。

コメント記入時、ホムペ・ブログなどのアドレスを記入すると投稿できないようにしてありますのでご注意下さい。

FC2カウンター

最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

フリーエリア

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。