あるにもあらず 過ぐるわが身は

東欧・北欧・中近東など世界の60's Beat/Psych、その合間にコミックなどを紹介しています。 こっそりとやっていますので、こっそりとお越し下さいませ(笑 

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いいジャケですね


17.3.18:記事の修正・追記・編成変更

今回は、近年やけにリイシューが活発な中近東ものを。

Sea-dersは何とレバノンのグループで、僕自身08年にリイシューされたLPの紹介記事を見て興味津々でした。
現在の感覚では、レバノン紛争で荒れ果てた政情不安定な国のイメージが強く、こういうグループが存在したことに驚かされてしまいましたが、少なくとも70年代前半までは、かつて中東のパリと呼ばれた首都ベイルートを中心に、小さいながらも活発なシーンがあったようです。

Sea-dersは、60年代初頭にJoe ShehedahとRaymond Azouryの2人がベイルートで活動をスタートさせたことが原点で、63年くらいにThe Top 5というグループを結成、メンバーチェンジを経た後に64年にSea-Dersになったようです。
メンバーは画像左からAlbert Haddad(Lead G.Vo)・Raymond Azoury(B.Lead Vo)・Zad Tarmush(Ds.Vo)・Joe Shehedah(G.Vo)の4人で、68年の解散までこのラインナップで活動しました。

66年に本国のSymbolレーベルからリリースした1stシングル「Thanks A Lot/Better Loved」が、いきなりチャートのトップの大ヒットになりました。
良くも悪くも彼らの運命を左右したのが、この直後にたまたまベイルートに来ていたUK-DeccaのA&Rマンがこの曲を耳にしたことで、この曲を気に入ったDeccaは彼らと契約、イギリスへと渡ることになりました。

そして67年、UK-Deccaから「Thanks A Lot」を本国のシングルのB面曲を差し替えてリリース。
ヒットにまでは到らなかったそうですが、イギリス名物(笑)海賊放送で盛んにエアプレイされていたそうで、この中近東フレーバーを盛り込んだフリークビートを、サイケムーヴメントに突入していた当時のイギリスのリスナー達はどんな風に捉えたんでしょうね?
続けて、イスラエルのPaxレーベルで唯一のEPをリリース。
元々イスラエルのレコードはプレス枚数が少ない上にほとんど売れなかったようで、現在では激レアだそうです。

68年、グループ名をCedarsに変更。
次のシングルは、Tremeloes関連で知られるTony Clarkeがプロデュースを担当した「For Your Information」をリリースするもまたもやヒットには到らず。
ラストシングルとなってしまった「I Like the Way」では、てこ入れのつもりか外部のソングライターを起用していますが、だいたいこういうやり方がうまく行くはずもなくこのシングルも失敗に終わりました。

Deccaは契約を破棄し、スタジオ使用による巨額の請求書を彼らに送りつけたそうです。
失意の彼らは、イギリスに大事な機材を残して解散し、逃げるようにレバノンに帰国。

69年になって、トルコで「For Your Information」が大ヒットし、いくつかのグループがこのシングルの両面をカバー。
このヒットで、少しは潤ったかもしれません。
いや、あのいい加減な契約で有名なDeccaだから、印税は支払ってないかもしれませんね(汗


Sea-Dersの残した8曲(あと2曲あるという情報も)を聴くと、まさに中近東を感じさせる空気がありながら、しっかりとしたビート&ドライヴ感があって、UK/USのグループに決して引けをとらないサウンドで、辺境もの(あまり好きな表現ではないのですが便宜的に)の「ゆるさ」が苦手な人でも、素直にかっこいいと感じられると思います。

その中近東的なフレージングやブズーキの使用によるサイケな空気と、ドライヴ感のある演奏やポップで完成度の高い楽曲…、ビート/サイケ派の方に超お薦めのグループです。




Sea-Dersは、66~68年の間に以下のシングル・EPを残しています。

表記されているもの以外はメンバーのA.Haddad-R.Azoury作

Thanks A Lot / Better Loved (レバノン Symbol SBL 001)`66
Thanks A Lot / Undecidedly (UK Decca F22576)`67
Thanks A Lot /Better Loved
/ Undecidiely / Cause I Do Care (イスラエル Pax ISEP2024)EP`67
For Your Information / Hide If You Want To Hide (Hammond) (UK Decca F22720)`68 *トルコでもリリースされ大ヒット
I Like The Way (R.Cordell) / I Don't Know Why (Smith-Yousef) (UK Decca F22770)`68

これらの音源は、ごく一部を除いて長年なかなか聴くことができませんでしたが、08年に8曲すべてをまとめたLPが、10年には同内容のCDがリリースされました。

Same(スペインGroovie GROO 0014 )LP` 08 
(USA Lion Production LION 646)CD `10
SideA
1,For Your Information 2,Hide If You Want To Hide
3,I Like The Way 4,I Dont Know Why
SideB
1,Thanks A Lot 2,Undecidedly
3,Better Loved 4,Cause I Do Care

CDも同じ曲順になっています。
どういうわけか68年の4曲を先に、66・67年の曲をその後にしてありますが、インパクトの面でも時代順にした方がよかったんじゃないかと思います。

時代順にするとB1&3(66年)、B2&4(67年)、A面(68年)になります。
イントロから怪しげな(笑)中近東フレーズギターが突っ走るフリークビートなB1は最もよく知られた曲で、90年代にリリースされたDecca系のオムニバスCD「Freakbeat Scene」にも収録されています。
そのB面のB3は、インストもののようなキンンキラキンのギターが耳に入るマージービート的なサウンドです。
B2は67年にB1がリリースされた時にB3から差し替えた曲で、レコーディング自体は1stシングルと同じベイルートでのセッションからの66年録音です。
これもオリエンタルと言うか中近東と言うか、そういうムードを持ったミドルテンポの佳曲で、A面との音楽性のマッチングもこちらの方がいいかなと思います。
B4はイスラエルのみでリリースされたEPのみに収録された曲で、中近東的でもなくわりとフツーの曲で、いかにもシングル候補でレコーディングされて最終的にボツにした曲みたいな印象です。

A面は全て68年の録音で、発売順に並んでいます。
A1&2は彼らの最高傑作で、2曲ともギター&ブズーキのツインリードによる中近東フレーズを盛り込んだスリリングなサイケ/フリークビートで、多くのトルコのグループがこの2曲のカバーをしていることも示唆していますね。
A3&4が彼らのラストシングルで、ヒットを逃し続けてきた彼らへのてこ入れ対策か、どうやらレーベル&プロデューサーの意向で押し付けられた曲のようで、そのせいか悪くはありませんが何となく覇気がない演奏です。
B面曲は、それでも彼ららしいスタイルののびやかで美しいA4の方が遥かに出来が良くて、僕だったらこちらをA面にしますね。

また、ある資料によるともう2曲録音があると言う話もあります。
リイシューされることになった時、メンバーが未発表曲2曲(正規録音なのかデモなのかは不明)のマスターを所有していることが分かったそうですが、メンバーが請求してきたマスターを貸与料があまりにも高く、結局レーベル側と折り合いがつかずに、収録は見送られたようです。
収録されれば大きな目玉になっただろうし残念な話ではありますが、彼らが高額請求を吹っかけてきた背景には、当時、向こうから声をかけてきたにもかかわらず、最終的に身ぐるみはがされるように帰国させられたという思いがあり、欧米人に対する不信感の強さを感じますね。

Sea-Ders以外のレバノンのグループの音源は、レバノン紛争の混乱の影響か、リイシューもデータも少ないですが、以下の編集版で聴くことができます。

V.A/Waking Up Scheherazade: Arabian Psych Nuggets(オランダ Ali Baba And His 40... Records ABA 001)`08 *LP
V.A/Waking Up Scheherazade 2 (オランダ Ali Baba And His 40... Records ABA 002)`10 *LP


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